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Mrs. GREEN APPLEのMV「コロンブス」炎上事件を再発させない方法
「論争惹起性を緩和させ、邪推を遠ざける」周到な工夫
そこで「衝撃の緩和策」として、例えばそのシーンの直後に、現代の風力発電をバックに今度は逆にナポレオンが人力車を引き、猿が人力車の上でふんぞり返って悦に入っているといったシーンを挿入するのだ。時間軸の混合、主客の交代、価値の転倒がもたらすユーモアが高強度表現を包み込めば、インパクトを一定程度中和させることができるだろう。植民地に持ち込まれた「馬」、虐殺された「バッファロー」についても同様に、メタファーの解釈が生む論争惹起性を緩和させ、邪推を遠ざける周到な工夫があれば乗り切れる。
今回のMV問題が社会の注目を集めたのは、昨年の紅白歌合戦に初出場したMrs. GREEN APPLEというバンドが高い人気を持っているだけでなく、コカ・コーラというグローバル企業のオファーで楽曲を作成したという事情もあろう。つまり音楽をめぐる「ビジネスと人権」の問題でもあるのだ(なおコカ・コーラはMVの内容自体は関知していないとしている)。
価値観の多様化と視座の流動化は加速化している。そうした潮流の中で、広告表現への批判が突如噴出し炎上することはクリエイティブを萎縮させかねない。その対策として、アーティストや制作陣の属人的な知識や視座の足りなさを批判するだけではダメだ。制作プロセスにおける「仕組み」として、文化デューデリジェンス(事前の精査)をビルトインしたクリエイティブ支援体制を構築していく必要がある。
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