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岸田首相襲撃で「テロリズム連鎖の時代」が始まるのか
かつての過激派すらしなかったテロ
戦前の歴史を見ると、1921年の「平民宰相」原敬首相暗殺、1930年の浜口雄幸首相銃撃、1932年の5・15事件(犬養毅首相殺害)といった襲撃事件があり、いずれも日本の議会政治・政党政治を大きく変質させた。ただでさえ脆弱な民主政の土台を切り崩す「テロリズムの連鎖」こそが、結果として軍部の暴走を許し戦争を出来した悲劇を思い起こせば、今回の事件の政治的意味合いを過小評価してはならない。
現職首相の選挙遊説中にパイプ爆弾(状のもの)を投げつけて爆発させるというテロは、かつての過激派ですらしなかったことだ。今回の事件の背景に万が一、山上由来のテロリズム連鎖の「発芽」があるとした場合、日本政治に今後何がもたらされる可能性があるのだろうか。社会の分断と混乱の中で遠からずファシズムの足音が聞こえてくるといった「新しい戦前」論が、単なる直感と感想に留まらない可能性を想起すると、さすがに慄然とせざるを得ない。
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