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二階幹事長「他山の石」発言の本当の問題点
二階幹事長の「他山の石」発言は物議を醸したが Ng Han Guan/Pool-REUTERS
<河井元法相が公選法違反裁判で一転して罪を認め、議員辞職する見通しになった。事件について、自民党の二階幹事長が「他山の石」と評したことが「他人事のよう」と責められている。二階氏は「言い間違えた」のだろうか>
2019年7月の参議院選挙における公職選挙法違反(買収)の罪に問われていた河井克行元法相は、3月23日から始まった被告人質問でこれまでの無罪主張を改め、起訴事実の大半を認めるとともに、25日には議員辞職願を衆議院に提出した。近く開かれる衆議院本会議で河井元法相の議員辞職が認められる見込みだ。
いま問題となっているのは、被告人質問の約1時間前、自民党本部でなされた二階俊博幹事長の発言だ。二階幹事長は「党としても他山の石としてしっかり対応していかなくてはならない」と述べたが、この「他山の石」の解釈を巡って議論が起きている。
野党サイドやSNSでは、二階幹事長の発言を「他人事のようで、無責任」だと批判する声が多くあがっている。一方で、そのような批判は的外れであり、「他山の石」に「他人事」という意味はないという指摘もなされている。はたしてどう考えればよいのだろうか。
2005年に公表された文化庁の「平成16年度『国語に関する世論調査』の結果について」によれば、「他山の石」を、「他人の誤った言行も自分の行いの参考となる」という本来の意味で使っている人が26.8%だった。これに対して、「他人の良い言行は自分の行いの手本となる」という意味で使っていた人は18.1%、分からないと回答した人が27.2%だった(調査対象:全国の16歳以上の男女3,000人、有効回収数2,179人)。
「他山の石」に共通理解なし
つまり、「他山の石」という言葉の意味が「分からない」とする回答が最も多く、「良い手本」となるという意味で理解している人も相当数いた。やや古い調査ではあるが、二階幹事長発言が議論となっているのは、国民の間で、この言葉について一義的な共通理解がないことが背景としてあろう。
他人の良い行いをお手本にするという解釈は、文化庁によれば、本来の意味とは異なるとされている。では、「他山の石」を、他人の「悪い行い」、「誤った言行」も自分の行いの参考となるという意味だとした場合、「他人」とは誰を指すのか。
今回の「他山の石」発言を批判する側からすれば、河井前法相による買収事件は自民党の中枢で起きたことであり、他ならぬ自民党の幹事長が、参議院選挙当時自民党員であった河井前法相の事件を「他人」というのは、当事者意識を欠くものでおかしいということになる。
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