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高まる「トランプ的」ローマ教皇の待望論...改革派フランシスコ教皇への「反発のマグマ」が噴出か

教皇フランシスコを追悼するメキシコの教会(メキシコシティ、4月23日) Henry Romero-Reuters
<自分で手荷物を持ち、トレイを運んだローマ教皇フランシスコが死去。新教皇選出選挙コンクラーベに向け、カトリック内部でくすぶっていた保守派の反発が噴出するか>
[ロンドン発]4月20日、バチカンのサンピエトロ広場で開かれた復活祭の行事で姿を見せたローマ教皇フランシスコが21日死去した。88歳だった。バチカンは葬儀と新教皇選出選挙「コンクラーベ」の準備を進めるが、反フランシスコ派のマグマがうごめいている。
フランシスコは在位中、伝統的なバチカンの慣行を大幅に変更し、進歩的な改革を実践した。『最後の晩餐:アート、信仰、性、そして1980年代の論争』(筆者仮訳)の著者ポール・エリー氏は米誌ニューヨーカーに「地に足の着いた教皇」(21日付)と題して寄稿している。
「独裁者やその予備軍が台頭する時代においてフランシスコは強権的な指導者とは真逆の存在だった。頻繁に、自然に、おおらかに笑った。直接的で非公式な交流を好んだ。自分の手荷物を持ち、カフェテリアで自分のトレイを運び、記者からの質問に即興で答えた」(エリー氏)
最後のメッセージは「他者への信頼を蘇らせたい」
「注意深く決意に満ち、気難しく気まぐれで、時に慎重、時には急ぐ捉えどころのない人物だった。その性格的特質は時が経つにつれ、変化するよりむしろ研ぎ澄まされていった。親しみやすさによってローマ・カトリックを市井に引き戻し、教皇職を現実に近づけた」(同)