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「最もセクシーな下院議員」が脱落、次の英首相は「対中国最強硬派」か「王子様」か
ボグダナー教授は「EU離脱やジョンソン氏のキャラクター、そしてホラー映画のような見出しが踊る英大衆紙のせいでイギリスは波乱万丈、理解するのが非常に難しいように思われている。しかし欧州の他の民主主義国家より安定していて復元力がある。ジョンソン氏と各後継候補の政策は減税するかどうかを除くと実はそれほど違わない」と解説する。
「対ウクライナ政策は変更されることはない。スコットランド独立を巡る住民投票を2回行わないという方針も変わらない。EUとの関係について細部で多少の違いがあるかもしれないが、原則に変わりはない。エネルギーや食料価格の上昇による生活費の危機という非常に厳しい状況に直面し、生活水準が下がることは回避できない」とボグダナー教授は断言する。
スナク氏「ディズニーの王子さま」
筆者が「本命」視するスナク氏だけが「財源のない無責任な減税を唱えていない」(ボグダナー教授)。それが保守党草の根支持層でスナク氏の人気が低迷している理由の一つである。EU離脱で成長の回復が遅れ、コロナ復興、ウクライナ戦争でエネルギーや食料品の価格が高騰する中、年間インフレ率は実に9.4%に達した。
こんな状況で減税すればインフレに歯止めがかからなくなり、インフレが25%近くになった1970年代の悪夢が再現する。危機的状況の英経済の舵取りを任せられるのは、行き届いたコロナ経済対策で危機を乗り切った政策通のスナク氏しかいない。テリーザ・メイ首相(当時)に首席補佐官として仕えたギャビン・バーウェル上院議員は2月、筆者にこう答えている。
「スナク氏は急速な出世を遂げた。とても印象に残る政治家だ。コミュニケーション能力も高く、効果がある。思慮深く、メディアに出る前にきちんと説明を受けている。イギリスはインフレや生活費の上昇という困難に直面しているが、コロナ危機では休業補償を打ち出し、政策的に大きな成功を収めた。明らかに才能があり、将来のリーダーになる可能性がある」
「彼は急成長している。もし彼がすぐにでもトップの座に就くとしたら、それは非常に急速な出世となる。明らかに彼にはその才能がある」と絶賛した。しかし保守党党首選では「イギリスらしさ」も問われる。彗星のごとく政界に現れたスナク氏は「ディズニーの王子さま」とも呼ばれる。何も食べずに仕事に没頭しているというエピソードすらある。
スナク氏はインド系移民の家庭に生まれ、育った。妻はこれまで英国外で納めていた税金をイギリスに納めるようにすると表明したものの、重税を嫌う保守党支持者は「自分の妻はこの国で税金を払っていないのに、私たちには増税か」と疑いの目を向けている。