- HOME
- コラム
- 欧州インサイドReport
- 「2日で勝利」の見込み外れたプーチン、大苦戦の前線…
「2日で勝利」の見込み外れたプーチン、大苦戦の前線は「防御」に作戦変更
「3万~5万人の犠牲は許容範囲」
22日の投稿では「昨日、プーチン氏はロシア連邦安全保障会議のニコライ・パトルシェフ書記とセルゲイ・ショイグ国防相、ヴァレリー・ゲラシモフ軍参謀総長、アレクサンドル・ボルトニコフ連邦保安局(FSB)長官とテレビ会議を開いた。ロシア軍の損害についてゲラシモフ氏が『本質的な大きさだ』と報告した」とある。
これに対して「プーチン氏は『本質的な、とはどういう意味か』と下問したが、答えを待たずに『3万~5万人の犠牲は許容範囲だ。勝利の後に達成される目標に比べれば何でもない』と言い放った。プーチン氏は『勝利』の新たな期限を5月7日にし、『人的損失は度外視して、装備を大切にしろ』と命じた」という。
会議ではボルトニコフ氏へのプーチン氏の冷淡さが際立ったと指摘されている。ウクライナ侵攻の大失態の責任を問われる形で体制内の粛清はすでに始まっているともささやかれる。
何でも見通せる水晶玉を持っていても独裁者プーチン氏の心中を見抜くことはできない。「SVRの将軍」はプーチン政権内の反戦グループ、または反プーチン派なのかどうかも定かではない。ただフォロワーを増やすためだけのデッチ上げだとしたら、残忍極まりないプーチン氏を敵に回す危険な火遊びだと言わざるを得ない。
24日、ブリュッセルで北大西洋条約機構(NATO)、先進7カ国(G7)、欧州連合(EU)首脳会議に臨むジョー・バイデン米大統領は「プーチン氏は戦争犯罪者だと思う」と述べている。NATOはロシア軍の生物・化学・核攻撃から身を守るのに役立つ装備やさらなる対戦車兵器、防空ミサイルをウクライナに供与する方針だ。
戦争が長引けば長引くほど、ウクライナの主要都市はチェチェン共和国のグロズヌイやシリアのアレッポのように木っ端微塵に破壊され、ウクライナ軍や市民の犠牲も膨らむ。しかし、ロシアも返り血を浴びて制裁で経済は壊滅的な影響を受ける。米欧にとって絶対に避けなければならないシナリオはロシアとの核戦争だ。
プーチン氏は追い詰められれば「見せかけの勝利」を確保するためウクライナで低威力核兵器を使用することもためらうまい。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領や米欧の政治指導者にプーチン氏に「最低限の勝利」を与える腹づもりはあるのだろうか。仮に、それがプーチン氏には次なる戦争までの時間稼ぎであったとしても。
それともバイデン氏は「戦争犯罪者」プーチン氏の体制転換に目標を定め、長期に及ぶ消耗戦にロシアを巻き込むつもりなのだろうか。