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ブレークスルー感染はこうして防げ 英オックスフォード大学がツール開発
田村憲久厚生労働相は抗体カクテル療法の自宅での投与について「モデル事業のような形で進める。問題点を抽出し、全国展開を図りたい」と述べた。当初、入院患者に限定して使用していたが、宿泊療養施設や外来診療でも認められ、コロナ病床が逼迫する中、自宅療養者に往診で投与できるようにとの要望が強まっていた。
大阪府は今月17日、大阪市内の自宅療養者1人に全国で初めて往診で抗体カクテル療法を実施した。吉村洋文知事は「自宅療養者をできるだけ早く治療し、重症化したり、自宅で亡くなったりする人を1人でも減らしたい」と話した。これまでは急性のアレルギー症状などがまれに起きるため、入院や外来診療でしか認められていなかった。
抗体カクテル療法は症状が現れてから7~10日以内に投与すれば入院を防ぐ高い効果がある。30分ほどの点滴または4回の注射で投与される。日本では7月に特例承認された。現在、日本の自宅療養者は6万人。発症者に限って投与するとしても50万回分の「弾薬」はいつまで持つのだろう。
英は冬に最大の山が来ると警戒
すでに15万7千人以上の死者を出しているイギリスではこの冬、1日の入院患者が最大で7千人に達する山が来ると警戒を強めている。これまでのピークは1日4500人だった。50歳以上、高齢者介護施設の入所者や職員、第一線の医療・社会福祉の従事者を対象に米ファイザー製ワクチンを使って3回目の接種を始め、11月初めまでに終了する計画だ。
抗体カクテル療法はブレークスルー感染のハイリスクグループに優先して使用すべきだと専門家は指摘している。
パンデミックとはウイルスとの「戦争」だ。医療経済が徹底しているイギリスではエビデンスに基づき周到に「戦争計画」が立てられる。1回目と2回目はコーヒー1杯分(1回2.18ポンド=327円)のお値段の英アストラゼネカ(AZ)製ワクチンで免疫し、18ポンド(2700円)から22ポンド(3300円)」に値上がりしたファイザー製を3回目に接種する。
1回目も2回目もAZ製だった筆者も妻も3回目で初めてファイザー製を接種する。異なるワクチンを打つのは免疫の訓練効果を高める狙いもある。
コロナ対策はそれぞれの国によって異なる。経常収支が赤字のイギリスは日本のように債務を増やせない。政府債務が青天井で膨れ上がる日本ではコロナ患者を受け入れる病院向けの補助額は重症病床で約2千万円、高額の抗体カクテル療法やレムデシビルも積極的に使用されている。
発症者全員にトランプ前大統領と同じレベルの治療を施せば一体、何が起きるのか。欧米では今回のパンデミックで感染者だけでなく、入院、重症患者、死者が指数関数的に増える恐怖を味わった。欧米に比べ被害が小さい日本では「対症療法」でコロナ危機をやり過ごすことはできても、膨大な借金が将来世代に残される。果たして、それで良いのだろうか。