コラム

インド太平洋の要である日本はAUKUSで悪化した米仏の関係修復に動け

2021年09月23日(木)14時37分

欧州は地理的に中国から離れている。対中外交で「経済」と「人権」を天秤にかけることはあっても、アメリカやオーストラリアのように「経済」より「安全保障」を優先させる地政学上の必然性はない。中国との経済関係が強いドイツがインド太平洋で対中強硬に転換するとは考えにくい。だからこそイギリスなき後のEUでフランスは重要なのだ。

台湾有事になれば日米安保に基づき必然的に巻き込まれる日本にとってAUKUSは対中抑止力を増強することになり、大きなプラスになる。日本はインド太平洋の要として日米豪印4カ国(クアッド)とAUKUSを結ぶとともに、米豪とフランスの関係修復に積極的に動かなければなるまい。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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