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黒海で「航行の自由作戦」の英艦にロシア機が警告爆撃4発 ここはプーチン大統領の「レッドライン」
クリミア危機では、ヤヌコビッチ失脚でウクライナの親欧米化が加速し、クリミア半島のセバストポリ海軍基地が使えなくなり、黒海から地中海に展開できなくなることを恐れたプーチン大統領がクリミア併合を強行した。シリア内戦でもアサド政権が崩壊することを恐れて軍事介入している。
プーチン大統領は自分で設定した「レッドライン」を越えたと判断したら即座にプランBを発動するのが特徴だ。その時、バイデン大統領はどう出るのか、出方次第で軍事衝突というシナリオは否定できないが、しばらくプーチン大統領とバイデン大統領のにらみ合いが続きそうだ。
【クリミア危機・ウクライナ東部紛争の経緯】
2013年11月、ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領が、欧州連合(EU)との関係を強め、ロシアのユーラシア経済連合(EAEU)に関わる可能性を排除する連合協定の調印手続きを突然、凍結。親欧路線の転換に市民や野党勢力が反発。反政権デモ広がる
14年2月、ヤヌコビッチ大統領が失脚、国外逃亡図る
14年3月、ロシア軍がクリミアを支配、「住民投票」を実施してロシアへの編入を強行
14年4月、ウクライナ東部で親ロシア派が武装闘争始める。ロシアが軍事支援。これまでに1万人以上が死亡、2万4千人近くが負傷。150万人が避難
14年7月、マレーシア航空機が親ロシア派支配地域から発射された地対空ミサイルによってウクライナ領空で撃墜され、乗員乗客298人全員が死亡
15年2月、ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの4首脳がベラルーシ首都ミンスクで停戦合意
18年1月、米政府がウクライナ東部紛争に関連する個人21人と9社に新たな制裁
18年3月、米国務省がウクライナへの対戦車兵器の売却を承認
18年7月、米国防総省がウクライナへの2億ドル追加援助を発表。14年以降の援助総額は10億ドルに
18年10月、ウクライナが同国西部でNATOに加盟する7カ国とともに空軍の大規模演習に参加
18年11月、ロシアが黒海でウクライナ海軍の艦艇3隻を拿捕
19年4月、ゼレンスキー大統領が当選。ウクライナ東部やクリミアを実力で奪還すると表明
21年3月、ロシア軍がウクライナ国境付近や占領地域に集結
21年4月、EUのジョセップ・ボレル外務・安全保障政策上級代表が史上最大規模のロシア軍10万人以上がウクライナ国境付近に集結していると発言
・ゼレンスキー大統領はウクライナのNATO加盟を改めて求める
21年5月、先進7カ国(G7)外相が「国際クリミア・プラットフォームの立ち上げのためのウクライナのイニシアティブを原則として歓迎する」と表明
21年6月、バイデン大統領とプーチン大統領がスイス・ジュネーブで会談