コラム

英アンドルー王子、未成年者との性的関係疑惑で「更迭」 米捜査当局の召喚迫りエリザベス女王が苦渋の決断?

2019年11月21日(木)17時30分

アンドルー王子は、プレイボーイで知られる英エリザベス女王の次男。今度こそ命運が尽きた? Toby Melville-REUTERS

交際した女性は1000人超

[ロンドン発]交際した女性は1000人を超えると言われるプレイボーイ、アンドルー英王子(59)=英王位継承順8位=が20日、勾留中に自殺した米富豪ジェフリー・エプスタイン被告の未成年性的搾取疑惑に関連して公務からしばらく退き、米捜査当局の召喚に応じる考えを表明しました。

エプスタイン被告との関係について「判断を間違ったことを深く後悔し続けている。彼の自殺は被害者にとって多くの未解明な問いを残した。私にできることは被害者の皆さんが人生を再建できることを願うだけだ」と改めて声明の中で記しています。

英紙デーリー・テレグラフは、米捜査当局の召喚が間近に迫り、エリザベス英女王が事実上、アンドルー王子を「更迭」したと報じています。米国の法廷で疑惑を一掃できなければ、そのまま「引退」を余儀なくされる恐れもあります。

1982年のフォークランド紛争時、王位継承順2位だったアンドルー王子は空母インビンシブルのヘリ操縦士として戦場に向かい、国民的英雄になりました。

「疑惑の女性と会った記憶がない」

エリザベス女王の溺愛とチャールズ皇太子の「スペア」という気楽さからモデルやボンドガールと奔放な女性関係を続けてきました。元妻ファーガソンさんとの関係も良好ですが、よりを戻さないのは自由恋愛を楽しみ続けるためとも言われています。

アンドルー王子は英BBC放送の報道番組ニューズナイトのインタビュー(16日放送)に応じ、エプスタイン被告との関係を釈明。同被告の「性奴隷」だった米女性バージニア・ロバーツさん(35)が17歳の時に性的関係を持った疑惑について「彼女と会った記憶がない」とごまかしたことが大きな批判を招きました。

さらにエプスタイン被告の未成年性的暴行・搾取について「相応しくない態度」とかばうように表現したことも英国民の激しい怒りを巻き起こしました。アンドルー王子とエプスタイン被告の親しすぎる関係を英メディアの報道から振り返っておきましょう。

<参考記事>小児性愛の大富豪エプスタインと児童買春に関わったのか?──英アンドルー王子がBBCに生出演
<参考記事>未成年性的虐待の被告の大富豪が拘置所で怪死、米メディアが大騒ぎする理由

アンドルー王子とエプスタイン被告の危険な関係

1999年、アンドルー王子が英メディア王ロバート・マクスウェル氏(故人)の娘ギレーヌ・マクスウェル氏の紹介でエプスタイン被告に会う。90年代前半にすでに、ギレーヌ女史から恋人のエプスタイン被告を紹介されていたという疑惑も浮上。アンドルー王子の説明にすべて疑問符がつく。

2000年、アンドルー王子とギレーヌ女史がエプスタイン被告とともに米フロリダ州パームビーチにあるドナルド・トランプ米大統領の別荘マー・ア・ラゴで過ごす。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不

ワールド

アングル:またトランプ氏を過小評価、米世論調査の解
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story