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オーストリアで「世界最年少」首相誕生へ 31歳が唱えるニューポリティックス
しかし多文化の移民都市ロンドンに比べると移民と言っても欧州からが多く、どうしてもモノカラーに見えてしまう。
投票が締め切られた午後5時すぎ、オーストリアの公共放送ORFが開票予測を流すと、国民党の会場の音楽ホールは歓声に包まれた。チーム・クルツに参加して選挙運動を手伝った若者の中には15歳の少年もいた。
2日間で顔見知りになった司会者にステージから「マサトが日本から取材に来ているよ」と紹介され、赤面した。フランスの国民戦線や「ドイツのための選択肢」の選挙集会も取材したが、クルツや支持者に極右特有の暗さは全く見当たらない。
社会民主党が公共住宅や国営産業、労働組合に、国民党が農業、官僚、財界、教会に影響力を持つという戦後政治の構造はEU統合によって完全に崩壊した。クルツは財界・労組、官僚の中心に位置する政治をまず変えようとしている。
医療ビジネスのマーケティングをしているトーマス・ハートルさん(28)もチーム・クルツに参加した1人。
「堅苦しくて古臭い政治を一新するため、クルツは国民党のカラーを伝統の黒からライトブルーに変えた。社会民主党との連立に有権者はうんざりしている。僕の地元から19歳の候補者が立候補した。これまでの国民党では考えられなかったことだ。自由党との連立もEUから非難された時代とは違う」
チーム・クルツは、政治をスタートアップにしたフランスのエマニュエル・マクロン大統領の選挙チームに似ている。原動力はヤング・エグゼクティブ。ライトブルーのTシャツ、そしてスーツにノータイ、スリムパンツが定番。背広にネクタイはもう古い。
しかし、ニューポリティックスの実力が問われるのはこれからだ。