LINEでも無理だった...LINE証券「撤退」が改めて示した、「若者の投資」ビジネスが儲からない理由
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LIUBOMYR VORONA/ISTOCK
<LINEなら若者を投資に呼び込めるとも期待されたが、若年層相手のブローカレージビジネスを成立させる難しさを改めて知らしめる結果となった>
通話アプリ大手のLINEが証券業務から撤退し、顧客を野村證券に移管することになった。LINEは若年層を中心に巨大な顧客基盤を抱えており、同社の証券業務進出は若者を投資に呼び込む施策として注目を集めていた。「貯蓄から投資へ」という政府の方針も重なり、大きな期待が寄せられたものの、そのもくろみは完全に失敗したとみてよいだろう。
同社は全国に9000万人もの利用者を抱えている。若年層にとってLINEはなくてはならないツールであり、証券業務に進出すれば、一気に若い顧客層を獲得できるとの期待があった。
証券業界はバブル崩壊以降、低迷が続いており、ネット証券の台頭で一時的に盛り返したものの、既存顧客はほぼ獲得し切った状況にある。ネット証券は寡占化が進み始めており、トップのSBI証券の口座数が1000万口座を突破する一方、3位のマネックスはわずか220万口座と、市場は完全に停滞している。
業界の頼みの綱となっていたのが、投資経験が少ない若年層の獲得であり、IT大手であるLINEの参入はその起爆剤になると考えられていた。既存証券大手の野村がLINEと提携したことの背景に、若年層を取り込みたいとの思惑があったのは間違いない。
だが、若年層を投資に呼び込む戦略については、以前から疑問視されていたのも事実だ。20年にわたる不況で若年層の賃金は著しく下がっており、投資したくてもほとんどの人が余剰資金を持っていない。お金がなければ投資そのものが成り立たないので、手数料収入など望むべくもない。
「回転売買」に手を染めてきた証券会社の歴史
仮に宣伝を強化して口座を増やしたとしても、収益構造上の課題も大きい。金融商品の売買を仲介し、手数料を徴収する業態のことを証券業界ではブローカレージと呼ぶが、この業態は典型的な薄利多売のビジネスである。
比較的余裕のある高齢者が今の証券業界の主要顧客だが、それでも営業マンが顧客に株式の売買を強く推奨し、何度も取引させるという、いわゆる回転売買を行わないと十分な手数料を得ることは難しい。
既存の証券会社はかつて、顧客に半ば強引に株を売買させて手数料を稼ぐ手法で、何度も社会的批判を受けてきた。だが回転売買をやめると業績が低下するので、再び回転売買に手を染めるという歴史の繰り返しだった。
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