もはや中国に「世界の工場」の役割は期待できない──成長鈍化で起きること
中国の輸出金額は過去2年で急激に増加しており、現在では20年6月との比較で約1.5倍になった。だが輸出数量は21年以降は横ばいで推移しており、輸出金額増加分の多くは製品価格の上昇によるものである。
これは世界的な資源価格の高騰を受けたものだが、中国の人件費高騰も大きく影響している。中国の人件費が上がるにつれて、低付加価値の製品の輸出から撤退する中国メーカーが増えると予想される。
西側各国は中国に代わる製品供給基地を探す必要に迫られるが、中国のように安価なコストで大量の製品を製造できる国はほかに存在しない。各国は、低付加価値の製品についても割高な価格で購入せざるを得なくなり、現在、進行しているインフレがさらに激化することが懸念される。
中国の成長率が鈍化するということは、中国が安い製品を売る国から、安い製品を買う国に変貌するということであり、日米欧と中国が相互補完関係でなくなることを意味している。
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