トルコ通貨危機の教訓...日本でも「失政によるインフレ」は起こり得る
もっともトルコの国民はしたたかで、経済力のある人はドル預金を行っているほか、街中には多くの両替商が軒を連ね、庶民生活にもドルが相当入り込んでいるとされる。
一旦、加速したインフレを阻止するには、金融引き締めや緊縮財政など国民生活を犠牲にするしか解決策はない。インフレを放置すれば、預金の実質的な目減りという形で、多額の税金を徴収したことと同じ結果になる。どちらを選択するにせよ国民から富を奪うことに変わりはない。日本ではインフレをうまく制御すれば財政出動と両立できるという意見があるが、現実には不可能であることをトルコの事例は示している。
ちなみにインフレは超大国であるアメリカでも発生しており、1979年にFRB議長に就任したポール・ボルカー氏は政策金利を20%に引き上げるという荒療治で何とか物価上昇を抑え込んだ。日本と諸外国とでは経済状況が違うという議論はあまり意味をなさないと思ったほうがよい。政策を誤ればどの国でもインフレは発生する。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
日本で「粉飾倒産」する企業が増えている理由...今後はさらなる「倒産増加」が予想される 2024.10.30
【総選挙】自民党と立憲民主党の「経済/外交/政治改革」の政策比較で分かった「異例」の現象 2024.10.18