「批判してばかりでは経済は良くならない」という話が大嘘であるこれだけの理由
やるべきことはいくらでもある
こういった話はまだまだある。日本では、諸外国から事実上の奴隷制度であると厳しく批判されている外国人研修制度・技能実習制度をいまだに継続しており、一部の事業者は外国人を極めて劣悪な環境で働かせている(先進諸外国でも悪徳企業が外国人を酷使するケースはあるが、政府自らがこうした制度を運用している国は例がない)。
この制度が人権上、大問題であるのは当然のことだが、不当に安く外国人を雇用することで、国内の雇用を奪い、日本人の賃金を引き下げていることは明白である。日本人労働者に対しても労働法制を無視した雇用を行っている業界がいくつかあり、政府もなぜかこれを黙認している。
このような状況を放置しておいて、賃金上昇や潜在成長率などについて小難しい議論をしても何の意味もない。
筆者の現在の職業は経済評論家だが、自ら会社を立ち上げ、経営してきた経験を持っている。ミクロ的な取り組みの重要性について強く認識しており、民主国家としてやるべきことにしっかり対処するだけで、一定の効果は確実に得られると確信している。
その先の高い成長を実現するためのマクロ経済政策については、最低限のことが実現されてから議論すればよいだけの話だ。
【参考記事】高度移民だけの受け入れは可能なのか? 「魅力のない国」日本に足りないもの
※10月1日号(9月25日発売)は、「サバイバル日本戦略」特集。トランプ、プーチン、習近平、文在寅、金正恩......。世界は悪意と謀略だらけ。「カモネギ」日本が、仁義なき国際社会を生き抜くために知っておくべき7つのトリセツを提案する国際情勢特集です。河東哲夫(外交アナリスト)、シーラ・スミス(米外交問題評議会・日本研究員)、阿南友亮(東北大学法学研究科教授)、宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)らが寄稿。
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