コラム

安倍首相「マクロ経済スライド」連呼で墓穴? 年金を減らす仕組みの実情

2019年07月02日(火)14時05分

安倍政権は今年10月に予定されている消費増税を予定通り実施する方針を固めたが、国内では増税に反対する声の方が圧倒的に大きい。だが、年金財政を考えた場合、消費税は10%でも最低水準であり、ましてや減額を実施しないという場合には、それ以上の増税が求められてしまう。

最終的には国債の大量発行という手段が残されているが、当然のことながら、金利の急騰リスクという爆弾を抱えることになる。今回の年金2000万円問題というのは、実は日本の財政問題そのものであり、まさにパンドラの箱が開いてしまったという表現がふさわしいだろう。

八方塞がりに近い状況だが、それでも筆者は議論のきっかけが出来たのはよいことだと思っている。大きな痛みを伴うことになるが、今、抜本的な対策を講じることができれば、最悪の事態は回避できるはずだ。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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