GMOがビットコインの採掘事業に参入。どのくらい儲かるのか試算してみた
今のところマイナーの多くが中国勢
GMOが参入を表明したのは、このマイニング事業である。ビットコインがまだ世間に知られていなかった時代には、取引数も少なくパソコン程度のコンピュータでもマイニング事業に参加して利益を得ることができた。しかしビットコインが普及するにつれて取引量は増大し、マイニングに用いるコンピュータにも高性能なものが求められるようになってきた。
しかもマイニングの報酬単価はビットコインの総量が増えるにしたがって減っていく仕組みになっているので、今となってはかなりの資金を投入してより高性能なコンピュータを用意しないとマイニングでは儲からなくなった。
実は、この分野は中国勢が圧倒的に強く、既存のビットコイン取引の多くが中国人のマイナーによって支えられている。しかし一部からは、通貨の信頼性が一部の国の事業者に依存している状況について危惧する声もあがっており、ビットコイン業界では、マイナーのバランスをどう取っていくのかが重要なテーマとなりつつある。
GMOのような大企業が大きな資金を投入してマイニングに参入すれば、処理の分散につながるので、ビットコイン全体にとってもよい影響をもたらすだろう。また同社は上場企業で資金力もあるため、高性能のコンピュータを準備できる。ビジネス的にも十分に勝算アリと踏んでいるようだ。では、実際のところ、この事業は儲かるのだろうか。
先ほど説明したように、ビットコイン採掘の効率は年々低下している。技術的な詳細は省くが、現時点において年間1ビットコインをマイニングで稼ぐためには、毎秒15TH(テラハッシュ:ハッシュはビットコインの計算に関する単位。テラは10の12乗)程度の計算力を提供する必要がある。これは一般的に使われるパソコンの数百台分に相当する(一定の仮定条件のもとでの試算)。
今の価格が続けば勝算はアリだが・・・
GMOではマイニング専用の半導体チップを開発し、毎秒500PH(ペタハッシュ:ペタは10の15乗)の性能を実現するとしている。組み立てられた専用コンピュータは、長さ35メートル、幅16メートルという大きな建物内に配置され、冷却の必要性や電気料金の安さなどから設置場所は北欧になるという。ビットコインの価格は現在1万ドル(111万円)だが、この価格が継続すると仮定した場合、筆者の試算では年間約370億円程度を得ることが可能だ。
同社では明確なコストを明らかにしていないが、開発と運用を含めた総額費用が300億円程度になるとの報道もある。この数字が事実だとすると、1年以上、同じ条件で採掘を続けることができれば収支はプラスになる。
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