「日本の景気はもっとよいはず」日銀レポートの衝撃
支出面の統計は、企業が生産した製品やサービスのデータや、小売店の販売動向などから得られた数字であり、精度の高いものである。仮に税務から推定したGDPが正しいのだとすると、その分の消費はどうなってしまったのか、はっきりしないことになる。
今のところどちらの主張が正しいのかは分からないが、今回、日銀がこうした問題提起をしたことには大きな意味がある。GDPは経済活動の基礎となる統計であり、政府の経済政策はすべてGDPの結果をもとに決定されている。だが、これほど重要な統計であるGDPがどのようなプロセスで算出されているのか、国民はあまり知らされていない。GDPの算出プロセスについてオープンな議論が行われれば、最終的には統計の信頼性強化につなってくるはずである。
また最近は全世界的に経済の基本構造が変化している可能性が高く、GDPの考え方そのものについても見直しが必要な時期に来ている。これからの社会においてどのようなGDPが望ましいのが、幅広い形で議論を進めるのがよいだろう。ちなみに、米国では税務データを用いた分配面のGDPが算出されており、支出面との乖離は1%程度に収まっている。
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