コラム

自民が下野する政権交代は再現されるか

2024年04月24日(水)15時00分

皮肉なことに、われわれ一般大衆に国会は関係ない。国会どころか、町内会の活動にさえ、「町内会? 誰かうまくやっといてくれれば」程度の話で、関わり合いたくない。国が、市が、われわれの生活に「触ってきた時」にだけ、発言権を行使する。それは増税、徴兵、インフレなどで、そうなると選挙で与党を落とすのだ。


西欧近代の華、民主主義の実態はこんなもの。もっと「国民一人一人のニーズをくんだ、きめの細かい」政治はできないものか。それはインターネットの普及とAI(人工知能)の発達で可能になったようにも思うが、インターネットを使えない人はまだ多数いる。それに多数の問題について1億人もの成人の意見を集めて集計、分析したら、AIでもおかしくなるだろう。

それでも選挙という19世紀のシステムは、政治家、政党に緊張感を与え、政策・法案を磨かせる。国防費増加のような大きな政策転換の時には、選挙をやれば国民のお墨付きを得たことにもできる。

で、当面の政局は? 結局のところ岸田首相が焼け太りで、今秋の自民党総裁選で再選され、総選挙では辛勝ということになるのではないか。岸田首相、たたかれているうちに鍛えられ、顔立ちが看板らしくなってもきている。

【関連原稿】
「トランプの逆襲」で世界はどうなる?
米ネオコン外交の終わりと日本の矜持

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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