米軍撤退のアフガニスタンで次に起きること
アフガニスタンから帰国する米軍(2020年12月) JOHN MOORE/GETTY IMAGES
<ライバルが去ってユーラシアは中国とロシアの天下とかき立てるロシアメディアだがアメリカに代わり地域諸国の餌食になる可能性も>
バイデン米大統領の勇断で、アフガニスタンにいた2500人の米戦闘部隊は、7月には撤収をほぼ完了した。
2001年に米軍介入で政権から追われたイスラム原理主義勢力タリバンは巻き返しの勢いで、既に国土の85%を制圧したと称する。約20万人のアフガニスタン政府軍はもとから実力を欠き、これからは武器弾薬の補給と兵士への給料支払いもおぼつかなくなる。
このままでは首都カブールでも、1975年のベトナム戦争でのサイゴン陥落時の外国人脱出のような悲劇が起きる。避難できないアフガニスタン政府関係者や米軍への協力者たちは戦々恐々だろう。隣国タジキスタンでは既に、10万人の難民受け入れ準備を進めている。
タリバンの主流は、パキスタン軍の支援を得てきた。パキスタンは、アフガンの青年を教化して送り返し、インドとの係争地域カシミールに北方から圧力をかける算段なのだ。タリバンは今回、十分な補給を受けられるか不明だが、窮すれば中国、あるいはロシアと手を握ってでも全土制圧へと動くだろう。
「米軍の撤退でユーラシアは中国、ロシアの天下」と、ロシアの新聞は書く。アフガニスタン、中央アジアは地政学の大家ハルフォード・マッキンダーがかつて「ハートランド(中心地)」と呼び、ここを制する者はユーラシア全部を制すると言った。
しかしユーラシアの経済力は海と接する周縁部に集中していて、ハートランドを「制して」みてもお荷物になるだけ。この地域の諸国は海千山千で、言い寄る大国を張り合わせて骨の髄までしゃぶり尽くす。
中ロ両国は7月14日、タジキスタンでの上海協力機構(SCO)外相会議で米軍に「責任ある撤退ぶり」を示すよう求めたが、それはアメリカに代わり自分たちがしゃぶられる運命を見越しているからに違いない。
ロシアは、アフガニスタンと国境を接するタジキスタン、ウズベキスタンの安全保障を助けなければ、同盟国・準同盟国としての信頼を失う。中国はタリバンと手を組んででも、新疆ウイグルの独立運動分子がアフガンを根城にするのを阻止しなければならない。これまでは米軍がこの地域にまで手を出していることを批判していればポイントが稼げたが、これからはそうはいかない。
駐留米軍は本当に必要なのか? 戦後80年の日米関係を棚卸しせよ 2025.01.14
2025年の世界を「枠」を外して考えてみると...... 2024.12.23
来年に向けて日本人の一番の薬は「マゾ的思考」をやめること 2024.12.14
トランプ2.0、強気の「MAGA」が逆目に出る時 2024.11.26
「またトラ」でウクライナ停戦が成立すれば、北朝鮮兵が平和維持軍に? 2024.11.12
中国経済が失速しても世界経済の底は抜けない 2024.10.22
-
港区 営業アシスタント「海外ネットワークを持つ外資系総合商社」フレックス/残業月10h/年休120日
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
- 東京都
- 年収500万円~550万円
- 正社員
-
一般事務/メーカー 残業なし/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
貿易事務/流通関連 駅チカ/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
経験5年必須/プリセールス/年商250億円企業/リモート可/外資系企業
SAI DIGITAL株式会社
- 東京都
- 年収400万円~750万円
- 正社員