「一億総中流社会」復活を阻む消費税(前編)
その中間層向けの経済政策を実施しているのがオバマ政権であり、今年のノーベル経済学賞がつい先日発表となりましたが、消費と貧困、福祉の分析から格差問題に取り組んできたプリンストン大学のアンガス・ディートン経済学部教授が受賞したのが象徴するように、国際潮流も今や格差是正に向いています。具体策はともかく「結果」としての経済現象だけでも掲げないと海外は納得しまい、との思惑も渡航前にあったのではないでしょうか。蓋をあけてみれば、訪米したにも関わらず日米首脳会談はなし。トリクルダウン(富は富裕層から滴り落ちるように下々まで行き渡るという格差前提の経済理論)を掲げる現政権と、米国の格差は依然として酷いものがありますが、それでもそれを何とか縮小させるべく従来の新自由主義型の発想から方向転換したオバマ政権とでは話が噛み合わないのはわかります。
ところで、憲法や安保問題はワタクシの専門外ですので深入りするつもりは全くありませんが、安保法案反対派が盛んに喧伝していたように安倍政権が対米追随であるならこの「中間層経済の増強」についてこそ追随してもらいたいのです。が、そのための具体策が見えてこない以上、今のところ追随の気配なし。
自分たちの都合のいい時だけと言うべきなのか、都合の悪いところだけと言うべきなのか、説明のつかない部分については海外を悪にして責任転嫁する。こうした安易な海外批判は実は諸刃の剣でもあり、「悪いのは海外」として外圧を利用しようとする日本国内の既得権益の受益者の思惑と結託しやすいという特徴があります。本来、反目しているはずの相手と共通の敵を見つけて糾弾したところで、何ら問題の解決にはなりません。
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