賃金格差の解消こそが女性の雇用を後押しする
約束の意味で使用されている単語pledge(誓約する)は単なる約束を意味するpromiseと違いvow, oath, swearとともに聖書に由来する単語です。より公に、固い決意を持ってと受け止められる場合が多い単語です。虎の威を借る狐でILO条約111号など批准しなくても大丈夫と高をくくっているのかもしれませんが、いつ梯子が外されてもおかしくない状況です。気が付けば日本だけが国際社会で孤立となるやもしれません。
つまるところ、国際労働基準では女性、非正規も含め、労働者はその権利が確保されていますし、あるいは確保される方向で進んでいるということです。対して、いつまでたっても労働者の権利問題に消極的なのが日本ということになります。
仕事の内容そのものに厳しい(=クオリティの高さを求めがゆえに要求が強まる)のと、雇用環境が厳しい・劣悪なのは、これまた別問題。労働条件の話はともすれば倫理だけに偏するきらいがありますが、経済の視点から是正が必要なこと、この度の労働者派遣法改正案もそれに逆行しているとの現状認識が必要でしょう。
質の高い、生産性の高い労働を生み出すためにも、低い方への標準化ではなく、国際労働基準に向け最低限の労働環境を整えることでボトムアップを計るのは当然で、そうした国際的なコンセンサスに早く日本も追い付いてもらいたいものです。内需拡大、真の経済力の増強のために、協調して国際社会政策を遂行するために。そして、すべての人が労働を通じて輝くという理想になるべく近づくために。
<参考文献:深澤敦・立命館大学産業社会学部教授・講義録「国際社会政策論:国際社会政策(ILO)と日本」>
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