今振り返りたい「日本でゼロコロナ」提言の危うさ
「正義感」以上に危ういもの
仮に実現したとしよう。それはコロナ対策としては良くても、社会・経済の自由は著しく制限される。岩田提言は「新型コロナ」を中心に据えれば、素晴らしく効率的に思える。抜本的な医療支援が必要な途上国や、ここで称賛されている中国のような権威主義国家ならばトップダウンで「やる」か「やらないか」の2択で動ける。
だが、日本で本当に実現を目指すためには何が必要か。少なくないハードルがあるはずだが、それが十分に検討されているとはおよそ言えない。そのような提案であっても、もっと「自由を制限してもいい」と賛同する声が強まったのは、単に当時の菅義偉政権を批判したい以上の意味はなかったのだろう。
政権批判を目的に、「自由の制限」を肯定する。私はここに専門家の正義感以上の危うさを感じる。ちなみにウィズコロナ路線の欧米では経済成長が続き、ゼロコロナ路線の中国は大きなダメージを受けている。専門家が、専門外の領域まで語るとき、受け止める側は変に反応せず、「話半分」で聞くくらいがちょうどいいのかもしれない。
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