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台湾有事は近づいているのか?
4月に台湾周辺で軍事演習を行った中国軍 ロイター/Tingshu Wang
<中国が実際に軍事侵攻するかどうかは別として、選択肢として存在する以上そのための準備は必要であり、その意図を見せることも重要だ。中国にとって軍事侵攻は優先度の低い選択肢だが、アメリカや日本がなにも対策していないなら、優先度はあがるかもしれない......>
中国由来のグループVolt Typhoonがアメリカのグアムの施設にサイバー攻撃を行っていた。日本の内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)もハッキングされた。マイクロソフト社のクラウドサービスもハッキングされ、米政府機関など約25の組織のメールに不正アクセスがあった。
こうした一連のハッキング事件から台湾有事との関連を指摘する声もある。特にグアムには米軍の施設があり、台湾有事の際の対応を遅らせるための準備を進めていたのではないかと懸念されている。また、すでにサイバー空間では有事は始まっているという見方もある。
昨年のペロシ訪台をきっかけとして日本国内で数年あるいは2023年にでも中国の軍事侵攻があり得るといった主張は日本国内でよく見られた。最近はだいぶ落ち着いていたようだが、実際にはどうなのだろうか?
時間は中国に有利に働く 陳腐化するアメリカ
しばらくの間は、放っておいても時間は中国に有利に働くと中国が考えている可能性が高い。世界を取り巻く環境は、気候変動、疫病、資源不足、水・食糧不足、移民増加などで悪化している。異常気象は世界各地で深刻な被害をもたらし、住む土地を追われた人も増えている。これに拍車をかけているのがロシアのウクライナ侵攻や、アフリカのいくつかの国で起きている経済成長をともなわない人口増加だ。
アメリカを中心とした民主主義を標榜する国々が持っている統治モデルは経済成長を前提とした社会秩序が保たれたモデルである。その前提だからこそ、個人や企業に大幅な自由を認めることができる。しかし、すでにアメリカは統治モデルと社会の実態が噛み合わなくなっているのだ。2021年1月6日に起きたアメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件がそのことを象徴している。アメリカ国民の多くが内戦を現実の脅威として感じている(参考:過去記事)。
一方、中国は不安定な社会状況を前提とした統治を行い、中国という国の体制を曲がりなりにも維持し、その統治モデルをシステム化して他国にも輸出している。アメリカと中国の統治モデルの違いは社会システムの違いにも如実に表れている。アメリカのスマートシティは「生活の質の向上、都市機能の最適化、運営コストの削減」としているのに対し、中国のスマートシティは「不安定さが増す世界において、安全と秩序を保つ」ことを目的としている。この違いはそのまま両国の世界の認識の違いでもある。
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