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新疆ウイグル問題が暗示する民主主義体制の崩壊......自壊する民主主義国家
新疆ウイグル問題は国連でも何度か取り上げられているが、中国支持を表明している国の方が多い......REUTERS/Jason Lee
<香港や新疆ウイグルの問題で中国が国連で多数派を握れるのはひとつには一帯一路を中心とした影響力の拡大があるが、それよりも重要なのは世界各地で民主主義そのものが衰退してきていることだ......>
世界の多数を占める中国支持派
中国における新疆ウイグル問題に長らく注目が集まっている。弾圧や人権蹂躙は許されるべきことではないのは確かだが、この問題にはさまざまな側面がある。筆者はこの問題の全体像について語れるほど知識も情報もないので、あるひとつの側面にだけ注目して考えてみたい。民主主義体制の崩壊である。
新疆ウイグル問題は国連でも何度か取り上げられており、最近では10月6日の人権会議でドイツが39カ国(含む日本)を代表して声明を読み上げ、重大な懸念を表明した。ただし新疆ウイグル問題について懸念を表明(中国を非難)している国よりも、中国支持を表明している国の方が多いのが現実である。
なお、昨年は中国を非難する書簡に署名したのは22カ国、これに対して支持する書簡に署名したのは50カ国と倍以上の開きがあった。当初は37カ国であったが、その後遅れて参加した国を加えると50カ国になる(ジェイムズタウン財団、2019年12月31日)。
中国を支持している国のほとんどは経済的便益を守りつつ、自国内の人権問題に波及しないようにしているのだ、という指摘もある。実際、これらの国の多くは中国と一帯一路に参加しており、経済的な関係を持っている。昨年の段階ではイスラム教徒が主流を占める23の国も中国を支持していた。ちなみに一帯一路加盟国の人口の合計は、すでに世界の過半数を超えている。
一方、中国を非難している国々のほとんどはヨーロッパと英語圏の国である。日本は例外だ。そして多くの国がNATOあるいはアメリカと安全保障面で結びついている。昔の言葉で言うなら西側あるいは先進国と呼ばれる国々だ。なお、日本政府はロヒンギャ、カンボジアなどの問題では人権への配慮を欠く対応を批判されることも多い(ヒューマン・ライツ・ウォッチ、2019年4月7日)。
人権問題を巡って、先進国の連合が中国を非難する構図は香港における抗議活動の弾圧でも見られた。第44回国際連合人権理事会では中国支持派が多数(53カ国)となり、およそ半分の27カ国が中国を批判した。この時、日本の多くのメディアは中国支持が多数を占めた事実にはほとんど触れず、27カ国が批判したことに注目していた。
新疆ウイグル問題についての報道は前回の香港ほど偏っていないが、それでも国連で多数の国が中国を支持しているという事実はあまり重要視されていない。香港の問題に関して多数が中国を支持していることを指摘した以前の記事にも書いたが、日本にいる我々には世界の多数派が見えにくくなっている懸念がある。
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