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犯人を予測する予測捜査システムの導入が進む日米 その実態と問題とは
映画『マイノリティ・レポート』やアニメ『PSYCHO-PASS』の世界を彷彿とさせる...... REUTERS/Aly Song
<犯罪の発生場所や内容、犯人を予測する予測捜査システムの導入がアメリカ、日本で進んでいる。その実態は...... >
前回はアメリカと日本の警察が利用している顔認証システムを中心にご紹介した。どちらも民間組織と協力して顔認証システムによる監視体制を整えつつあった。
今回ご紹介する予測捜査(Predictive Policing)ツールは文字通り犯罪の発生場所や内容、犯人を予測するシステムである。映画の『マイノリティ・リポート』やアニメの『PSYCHO-PASS』を彷彿させるが、やっている警察は本気で効果があると考えているし、民間企業は新しいビジネスとしての可能性を大いに感じている。アメリカではFBIはもちろん各地の警察が導入している。日本の警察でも検討が始まっており、予測捜査ツールを開発する企業も登場した。
しかし、顔認証システム以上に多くの問題が指摘されている。中にはそもそもの方法論に欠陥があるという指摘もあり、予測捜査ツールを禁止する動きも出て来ている。
アメリカの予測捜査ツール
予測捜査ツールは過去の犯罪統計およびその地域、地理的条件、時間的距離的近接度、被害者および被害物の属性や傾向などのデータを元に、犯罪の発生地域や内容などについて予測するシステムである。多くのものはAI(ディープラーニング)を用いている。
犯罪が発生しやすい状態の地域あるいは犯罪に手を染めやすい/被害に遭いやすい人物、グループを予知し、警告を出す。パトロールのスケジュールなどのマネジメントも機能に含まれていることが多い。AIが警察官にパトロールの指示まで出すところは、『マイノリティ・リポート』や『PSYCHO-PASS』の世界だ。
予測に当たって個々人の個人情報まで必要としないものから、免許証、住所、電話番号、社会保障番号、事件の記録、捜査記録、聞き取りカードの内容、過去の犯罪統計などの機密性が高く、プライバシーに踏み込んだデータを使用するまである。
予測にもとづいて警察は監視やパトロールなどの措置をとって犯罪を未然に防ぐ、あるいは事後に迅速に対応できるようにする。
AIは、再犯予測システム「COMPAS」でも利用されている。再犯のリスクを評価するものだが、実は差別的な結果が出る問題がることが判明して問題となった。
表中の企業を全て紹介するのは長くなるうえ、全体像がかえってわかりにくくなると思うので、代表的な例としてPalantir社とPredpol社を簡単に紹介する。なお、これらの民間の予測捜査ツールとは別に独自のシステムを構築している警察も少なくない。また、Azavea社の予測捜査ツールHunchLabはShotSpotter社が買収した。他にもいくつかの資料で名前の上がっていたツールや企業が現在見つからないこともあり、予測捜査ツールの業界の動きが激しいことがわかる。
●Palantir社
顔認証システムで有名なClearview AI社にも出資していたピーター・ティールが創業したPalantir社はアメリカ官公庁および警察御用達の企業のひとつである。ピーター・ティールはシリコンバレーでも有数のトランプ支持者であり、密接な関係を持っていると言われる。そのおかげかはわからないが、アメリカ政府、CIA、海兵隊、特殊部隊に導入されている(BuzzFeed News、2017年7月27日)。100を超えるクライアントを持っていると言われる。
同社の予測捜査ツール Palantir Gotham(以前はPalantir Governmentという名称だった)は、ニューヨーク市警を始めとして、全米各地に導入されている。ニューヨーク市警は年間約3億5千万円を同社に支払っていた。なお、ニューヨーク市警はその後契約を切って、IBMのCobaltに乗り換えた。理由はコストが安く、同等以上の性能を持っているためだった(BuzzFeed News、2017年6月28日)。
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