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研究者の死後、蔵書はどう処分されるのか──の、3つの後日談
そこで、大野蔵書を管理していたかたと相談して、まずは、どのような本があるか確認しやすいように本のタイトルを撮影し、ブログに掲載した。それから、専門的に関係ありそうなかたに連絡をして、打診してみることにした。
ところが、いざ取りかかろうとしたときに、新型コロナウイルスの感染が拡大し、それどころではなくなってしまったのだ。
その段階で作業はストップしてしまったが、先日、ようやく感染が収まってきたのを見はからって、あらためて作業を再開することにした。前回の反省を踏まえて、今度は宣伝の対象を学界関係者に絞りこみ、まずは、専門から見て一番関係がありそうな日本中東学会のメーリングリストに大野蔵書の経緯と蔵書タイトルがみられるブログのURLをつけて、欲しいかたには無料でお譲りするとの告知を流した。
前回の反応の薄さがあったので、あまり期待はしていなかったが、メーリングリストに投稿してすぐに、大野蔵書を管理されているかたから、投稿を見た何人かのかたが蔵書の一部を引き取ってくれることになったとの連絡があった。さらに大野先生が長年、勤務していた東京大学東洋文化研究所からも東大で所蔵していないものについては同研究所で引き取りたいとの連絡があったそうだ。
また、ジェトロのアジア経済研究所からも、東洋文化研究所で仕分けして残ったものがあれば、引き取りたいとの申し出があった。
まだすべて決着がついたわけではないが、思いがけず、順調な滑り出しだ。このまま、大野蔵書が希望する人や機関に渡り、研究に利用されるようになることを祈るばかりである。
大切にしていた30冊程度、そのなかの「ペルシア語」の4冊
と、ここまで書いたところで、また別の話が舞い込んできた。今度は妻からの依頼である。
妻の勤務する大学図書館に研究者の蔵書寄贈の打診がきたというのである。3年まえの文章でも書いたが、大学図書館でも最近では本の寄贈をそのまま受けるケースは稀で、基本的にはその機関に所蔵されていないものを選書基準にしたがって受け入れ、すでにあるものについては受け入れられないというのが一般的らしい。
蔵書の主は妻の勤務する大学の元教員だが、すでに亡くなってから30年も経過している。寄贈の依頼は、ご本人ではなく、ご遺族からで、しかも、生前そのかたが非常に大切にしていた30冊程度という、寄贈としてはきわめて控え目な冊数であった。
ところが、その寄贈依頼の書がすべて、有名なペルシアの詩人、オマル・ハイヤーム(1131年没)の四行詩(ロバーイヤート〔ルバイヤート〕)関連本で、「ペルシア語」の本も4冊含まれているというのである。
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