ブラジル、28年の政府債務はGDP比で84.2%に上昇=政府予測

ブラジル政府は15日、政府債務が2028年に国内総生産(GDP)比で84.2%へ上昇してピークに達するとの予測を発表した。写真はブラジリアで2024年撮影(2025年 ロイター/Adriano Machado)
[ブラジリア 15日 ロイター] - ブラジル政府は15日、政府債務が2028年に国内総生産(GDP)比で84.2%へ上昇してピークに達するとの予測を発表した。これまで政府債務のGDP比は27年の81.8%がピークと想定されていた。今回の上振れはインフレ抑制を狙った中央銀行による金融引き締めに伴う金利上昇見通しを反映した。
一方、26年に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化し、GDPの0.25%相当の黒字にする目標を掲げた。27年にはGDPの0.5%相当、28年に1.0%相当、29年に1.25%相当にそれぞれ引き上げることを目指す。
企画予算管理省のクレイトン・モンテス予算局長は記者会見で、27年のプライマリーバランスの黒字目標を達成するには歳出と税制優遇措置の見直しが必要であることを認めた。
ビビアン・バルガ財務副大臣は「これらの結果を達成するために必要な措置を取る」と説明した。
政府は、現在14.25%に設定されている中銀の政策金利が年内に14.02%に低下し、26年に12.56%、27年に10.09%、28年に8.27%、29年に7.27%になると予測している。ただ、中銀は今年5月の次回金融政策委員会(COPOM)で1.00%の利上げを決めることを既に示唆している。
また、政府は通貨レアルの外国為替相場について、26年の平均為替レートが1米ドル=5.97レアル、平均原油価格が1バレル当たり66.74ドルになると予想。15日時点で1ドル=5.89レアル、原油の北海ブレント先物価格は1バレル当たり66.74ドルだった。
プライマリーバランスを26年に黒字化する政府目標について投資会社ウォーレン・レナは顧客向けのメモで「非現実的だ」と指摘。歳入見積もりが「水増しされている」のを踏まえると、26年のプライマリーバランスはGDP比で0.8%の赤字になると予想した。
他の新興国と比べて既に高いブラジルの政府債務は、健康状態が許せば26年の大統領選で再選を目指すルラ大統領の任期中にGDP比で10.1ポイント上昇することになる。
ルラ氏は社会福祉給付と家計収入の増加による財政拡大のマイナス影響を打ち消すため、より累進的な課税を実施してきた。
それでも年金や生活保護などの支出が急増している中で、公的債務残高を安定化できるのかという不安が高まっている。こうした懸念に加え、世界経済の見通しが厳しくなっているのを背景に、ブラジルの10年物国債利回りは14%を超えている。