TSMC、第1四半期は54%増益か 米通商政策がリスク

LSEGスマートエスティメートがまとめた市場予想によると、TSMCが17日発表する第1・四半期決算は、純利益が前年同期比54%増の107億4000万ドルになると見込まれている。写真は同社のロゴマーク。2022年撮影(2025年 ロイター/Ann Wang)
Ben Blanchard Wen-Yee Lee
[台北 14日 ロイター] - LSEGスマートエスティメートがまとめた市場予想によると、半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が17日発表する第1・四半期決算は、純利益が前年同期比54%増の3478億台湾ドル(107億4000万ドル)になると見込まれている。
ただ、同日0600GMT(日本時間午後3時)に予定されている決算会見ではトランプ米政権の通商政策に起因するリスクを指摘する可能性が高い。
トランプ氏は先週、TSMCに対し、米国内に工場を建設しない場合は最高100%の税金を支払うことになると伝えたと表明。同社は先月、トランプ氏との会談で、今後数年間で米国に1000億ドルの追加投資を行い、5つの半導体工場を新たに建設する計画を発表した。
また、トランプ氏は13日、米国に輸入される半導体への新たな関税率を来週までに発表すると明らかにしている。
セミアナリシスのアナリスト、スラバン・クンドジャラ氏は「同社は今後、地政学的リスクを軽減するため、海外工場への投資を強化する可能性が高い。ただ今後5年間で粗利益率は2─3ポイント低下するだろう」と指摘。「投資により、米政府から有利な待遇を受け、関税の負担を最小限に抑えることができるとみられる」と述べた。
キャセイ・フューチャーズのアナリスト、ベンソン・ツァイ氏は、アップルのiPhoneは主に中国製だとし「iPhoneが売れなくなれば、TSMCの半導体も売れなくなる」と述べた。
TSMCが先週発表した第1・四半期の売上高は42%増の8393億台湾ドル(256億ドル)。市場予想をわずかに上回った。
17日の決算会見ではドル建ての売上高見通しを示すほか、設備投資計画を含め、第2・四半期と通期の見通しも更新する予定。
前回1月の決算会見では、今年の設備投資が380億─420億ドルと、前年比で最大41%増加するとの見通しを示した。