中国輸出、3月は駆け込みで大幅増 トランプ関税で今後減少見通し

4月14日、中国税関総署が発表した3月の貿易統計によると、輸出は前年比12.4%増、輸入は4.3%減となった。上海近郊の洋山深水港で2月撮影(2025年 ロイター/Go Nakamura)
Xiuhao Chen Ryan Woo
[北京 14日 ロイター] - 中国税関総署が14日発表した3月の貿易統計によると、輸出は前年比12.4%増、輸入は4.3%減となった。
ロイターがまとめたエコノミストの予想は輸出が4.4%増、輸入は2.0%減だった。
1─2月の輸出は2.3%増、輸入は8.4%減だった。
3月の輸出増加は、トランプ米大統領による4月2日の大規模な関税引き上げを前に、中国の工場が出荷を急いだことが要因。
キャピタル・エコノミクスの中国経済担当責任者、ジュリアン・エバンスプリチャード氏は顧客向けノートで「しかし、出荷は今後数カ月、数四半期にわたって減少していくだろう。中国の輸出が現在のレベルを取り戻すには数年かかるとわれわれは考えている」とした。
トランプ氏は中国が米国への合成麻薬フェンタニル流入阻止に十分な取り組みを行っていないとして、2月4日から全ての中国製品に10%の関税を発動。3月にこれを20%に引き上げた。
その後、新たな関税措置で中国製品への関税は145%に引き上げられ、中国は報復措置として、米国からの輸入品への関税を125%に引き上げた。貿易摩擦が激化し、世界的な景気後退への懸念が高まっている。
<第1・四半期の対米貿易黒字が増加>
中国の3月の貿易黒字は1026億4000万ドル。直近の比較対象である昨年12月の1048億ドルからわずかに減少したものの、前年同月とほぼ同水準だった。
第1・四半期の対米貿易黒字は766億ドルと、前年同期の702億ドルから増加した。
大豆輸入が3月に前年比36.8%減少するなど、コモディティー(商品)貿易は米国からの輸入が既に貿易摩擦の影響を受けている可能性を示した。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミスト、シュー・ティエンチェン氏は「中国は既に米国からの農産品輸入を全面的に停止しているようだ」とし、国有業者が輸入停止の指示を受けた可能性があるとの見方を示した。
INGの大中華圏担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は「データは全体的な輸出がかなり強靭性を保っていることを示しているが、代替が容易で価格に敏感なカテゴリーがすでに打撃を受けている」と指摘。「145%という驚異的な関税が発動される中、来月の(発表)データは劇的に異なるストーリーになる可能性が高い」と語った。