ロシア経済が急減速、原油安で一段のリスクも

ロシア経済の急減速が最新のデータで明らかになった。原油価格の下落や世界的な市場の動揺が続けば、一段のリスクにさらされる可能性がある。写真は2024年8月、ロシアのブリヤート共和国ウラン・ウデで撮影(2025年 ロイター/Alexander Manzyuk)
Darya Korsunskaya
[モスクワ 8日 ロイター] - ロシア経済の急減速が最新のデータで明らかになった。原油価格の下落や世界的な市場の動揺が続けば、一段のリスクにさらされる可能性がある。
ロシアの成長率は過去2年間、ウクライナ侵攻に伴う支出を追い風に4%を上回った。一方、他の多くのセクターにおける労働力不足が賃金・物価スパイラルにつながり、インフレ率は10%を超えた。
中央銀行は主要政策金利を21%に引き上げ、企業幹部は投資を阻害していると反発。一方、ロシアの主要輸出品である原油は価格が下落している。
先週発表の統計によると、2月の国内総生産(GDP)成長率は前年比0.8%と1月の3%から低下し、2023年3月以来の低さとなった。また、鉱工業生産の伸びは2.2%から0.2%に急減速した。
ライファイゼンバンクのアナリストは「鉱工業セクターの大部分で悪化が根強くなっている。減速の兆候が定着しつつある」とし、高金利や労働力不足、防衛産業以外の生産能力欠如、西側の制裁による圧迫継続などを要因に挙げた。
トランプ米大統領の関税措置が世界的な景気後退を招くとの懸念で原油価格が4年ぶり安値に落ち込む中、ロシア経済の減速はさらに悪化するとみられる。
ロシア経済省と中銀は政府との2月4日の会合向けにまとめた報告書で、インフレが抑制される前に景気後退に陥る可能性が高まっていると指摘。高金利を受けた融資や投資の減速により、将来の成長が鈍化すると予想した。
これに加え、ロシアは米国の関税の対象から外れたものの、トランプ氏はロシアがウクライナとの停戦に向けてさらに努力しなければ、ロシアの石油輸出をさらに制限する制裁を科すと警告している。