ニュース速報
ワールド

ロシア経済が急減速、原油安で一段のリスクも

2025年04月09日(水)11時04分

ロシア経済の急減速が最新のデータで明らかになった。原油価格の下落や世界的な市場の動揺が続けば、一段のリスクにさらされる可能性がある。写真は2024年8月、ロシアのブリヤート共和国ウラン・ウデで撮影(2025年 ロイター/Alexander Manzyuk)

Darya Korsunskaya

[モスクワ 8日 ロイター] - ロシア経済の急減速が最新のデータで明らかになった。原油価格の下落や世界的な市場の動揺が続けば、一段のリスクにさらされる可能性がある。

ロシアの成長率は過去2年間、ウクライナ侵攻に伴う支出を追い風に4%を上回った。一方、他の多くのセクターにおける労働力不足が賃金・物価スパイラルにつながり、インフレ率は10%を超えた。

中央銀行は主要政策金利を21%に引き上げ、企業幹部は投資を阻害していると反発。一方、ロシアの主要輸出品である原油は価格が下落している。

先週発表の統計によると、2月の国内総生産(GDP)成長率は前年比0.8%と1月の3%から低下し、2023年3月以来の低さとなった。また、鉱工業生産の伸びは2.2%から0.2%に急減速した。

ライファイゼンバンクのアナリストは「鉱工業セクターの大部分で悪化が根強くなっている。減速の兆候が定着しつつある」とし、高金利や労働力不足、防衛産業以外の生産能力欠如、西側の制裁による圧迫継続などを要因に挙げた。

トランプ米大統領の関税措置が世界的な景気後退を招くとの懸念で原油価格が4年ぶり安値に落ち込む中、ロシア経済の減速はさらに悪化するとみられる。

ロシア経済省と中銀は政府との2月4日の会合向けにまとめた報告書で、インフレが抑制される前に景気後退に陥る可能性が高まっていると指摘。高金利を受けた融資や投資の減速により、将来の成長が鈍化すると予想した。

これに加え、ロシアは米国の関税の対象から外れたものの、トランプ氏はロシアがウクライナとの停戦に向けてさらに努力しなければ、ロシアの石油輸出をさらに制限する制裁を科すと警告している。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請、9000件減の21.5万件 労

ビジネス

米エヌビディアCEO、中国市場の重要性を強調=国営

ビジネス

ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨

ビジネス

ECB、6会合連続利下げ 貿易戦争で「異例の不確実
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判もなく中米の監禁センターに送られ、間違いとわかっても帰還は望めない
  • 3
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、アメリカ国内では批判が盛り上がらないのか?
  • 4
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    ノーベル賞作家のハン・ガン氏が3回読んだ美学者の…
  • 7
    関税を擁護していたくせに...トランプの太鼓持ち・米…
  • 8
    金沢の「尹奉吉記念館」問題を考える
  • 9
    「体調不良で...」機内で斜め前の女性が「仕事休みま…
  • 10
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 7
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 8
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中