トランプ氏の貿易戦争、ブラジル農業には追い風=SLCアグリコーラ

トランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争は、中国による報復という流れを受け、ブラジルの農業ビジネスに追い風になっている――。小麦とコットン生産でブラジル最大級の企業SLCアグリコーラのアウレリオ・パビナート最高経営責任者(CEO)は3月13日、こうした見方を示した。写真はブラジル南部パラナ州の港。1月撮影(2025年 ロイター/Rodolfo Buhrer)
[サンパウロ 13日 ロイター] - トランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争は、中国による報復という流れを受け、ブラジルの農業ビジネスに追い風になっている――。小麦とコットン生産でブラジル最大級の企業SLCアグリコーラのアウレリオ・パビナート最高経営責任者(CEO)は13日、こうした見方を示した。
パビナート氏は第4・四半期決算発表後のアナリスト電話会議で、ブラジルにとってのプラス材料は、世界最大の大豆輸入国である中国の旺盛な需要に関係すると説明。第1次トランプ政権で起きた2018-19年の貿易戦争以降で、中国の米国産大豆への依存が「大幅に減少」したと述べた。
中国は先週、トランプ氏の追加関税適用に対抗し、食肉と大豆を含む米国の農産物210億ドルに課す関税率を10-15%上乗せすると発表している。
パビナート氏は、今年中国が輸入する大豆は米国からが2100万トン、ブラジルからは8000万トンになると見積もった。
また同氏は、貿易戦争の影響で既にブラジル産大豆価格のシカゴの指標価格に対するプレミアムが拡大していると指摘し、プレミアムの幅は中国が米国産大豆に適用する追加関税率と同じ10%まで広がる余地があると付け加えた。
同氏によると今後、第1次トランプ政権時のような米中間での農産物取引合意がまた成立すれば、ブラジルには不利な状況となるが、現在の貿易戦争は商業よりも地政学的な側面が大きいので、何らかの合意があっても農産物がその柱になることはないだろうという。