加アルバータ州、米関税発動なら来年度は52億カナダドルの赤字に
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原油掘削が盛んなカナダ西部のアルバータ州政府は27日、トランプ米政権がカナダ製品への輸入関税を発動して歳入減と域内の景気減速をもたらした場合、2025―26会計年度(25年4月-26年3月)に52億カナダドル(35億米ドル)の財政赤字に陥るとの見通しを示した。写真はアルバータ州エドモントンで2021年10月撮影(2025年 ロイター/TODD KOROL)
Amanda Stephenson
[カルガリー 27日 ロイター] - 原油掘削が盛んなカナダ西部のアルバータ州政府は27日、トランプ米政権がカナダ製品への輸入関税を発動して歳入減と域内の景気減速をもたらした場合、2025―26会計年度(25年4月-26年3月)に52億カナダドル(35億米ドル)の財政赤字に陥るとの見通しを示した。24―25年度は58億カナダドルの財政黒字を見込んでおり、財政状況が急激に悪化する。
トランプ米大統領は3月4日から輸入するカナダ産原油に10%、その他のカナダ製品に25%の輸入関税を課す方針を示した。カナダ連邦政府も輸入する米国製品に1550億カナダドル相当の報復関税を適用すると表明している。
アルバータ州のホーナー財務相は記者団に「非常に多くの不確定要素があり、行動が予測不能で今後数日、数週間、数カ月のうちに何を言うのか言わないのか分からない米国の大統領がいる局面で、どうやって予算を組めば良いのか」と嘆いた。
同州によると、25―26年度の歳入は従来見積もっていた810億カナダドルから740億カナダドルへ目減りする。財政収支は26―27年度、27―28年度もそれぞれ24億カナダドル、20億カナダドルの財政赤字を見込んだ。
ホーナー氏は、米国が課す関税について原油は10%としつつ、他の製品は25%では米経済にとって持続不可能なので平均で15%になる公算が大きいとの見方を表明。その上でアルバータ州としてはトランプ氏の公式発言以外で関税計画の情報を得ることはできず、純粋に精一杯の合理的な推測をするしかないと付け加えた。
ただ、米国がカナダからの輸入品に新たに課す関税がなかった場合でも、アルバータ州は25―26年度に29億カナダドルの財政赤字を計上する見通し。原油の国際価格下落や人口増加に伴う公共サービス逼迫、新たな減税の負担などが足を引っ張る。