欧州各国、米の「抜け駆け」を一斉批判 ウクライナ和平交渉巡り

トランプ米大統領がロシアのプーチン大統領と電話会談しウクライナ戦争終結に向けた交渉開始を発表したことを受けて、欧州各国首脳は13日、米国に対し、欧州抜きで和平合意を結ぶことに警告を発した。5日撮影(2025年 ロイター/Kent Nishimura)
Andrew Gray Lili Bayer John Irish
[ブリュッセル 13日 ロイター] - トランプ米大統領がロシアのプーチン大統領と電話会談しウクライナ戦争終結に向けた交渉開始を発表したことを受けて、欧州各国首脳は13日、米国に対し、欧州抜きで和平合意を結ぶことに警告を発した。
トランプ氏の動きは、和平交渉で中心的な役割を担うことを望んでいる欧州各国に衝撃を与えた。ウクライナ情勢は欧州の安全保障に大きな影響を及ぼすためだ。
欧州連合(EU)の外相に当たるカラス外交安全保障上級代表は 「われわれに知らされずに行われた合意がうまくいかないことは明らかだ。いかなる合意もウクライナと欧州の参加を必要とするだろう」と述べた。その上で、交渉開始前からロシアが望むものを全て与えていると批判。「宥和政策に効果があった試しは一度もない」とした。
ヘグセス米国防長官は12日、ウクライナが2014年以前の国境に戻るのは非現実的であり、米政権はウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟がロシアによる戦争の解決策の一部になるとは考えていないとの見解を示した。
ドイツのピストリウス国防相も、和平交渉が始まる前に米国がロシアに譲歩をするべきでなかったとの見解を示した。
フランスのルコルニュ国防相は、トランプ政権の「強さによる平和」というスローガンに沿わない「弱さによる平和」に警告を発した。
リトアニアのサカリエネ国防相は、欧州が「トランプ大統領とプーチン大統領が全員にとっての解決策を見つけてくれるという幻想に陥るべきではない」と述べた。
英国のスターマー首相も、戦争終結に向けたあらゆる交渉においてウクライナが「中心」にならなければならないと指摘。「ウクライナが中心にいない交渉はあり得ない」とした。