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欧州委員長、電動化や競争巡りEUの自動車業界と協議

2025年01月31日(金)12時10分

 1月30日、欧州連合(EU)欧州委員会のフォンデアライエン委員長(写真)は、EUの自動車メーカーがどのように電動化を推進しつつ、電動化で先行する米中ライバル勢と競争していくかについて、自動車業界幹部や関係者を招いて協議した。写真はスイスのダボスで21日撮影(2025 ロイター/Yves Herman)

Philip Blenkinsop

[ブリュッセル 30日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会のフォンデアライエン委員長は30日、EUの自動車メーカーがどのように電動化を推進しつつ、電動化で先行する米中ライバル勢と競争していくかについて、自動車業界幹部や関係者を招いて協議した。

欧州の自動車業界は昨年、5万4000人の雇用が失われるなど工場閉鎖や人員削減が相次いだ一方、重要な鉱物資源と電池を中国に依存する状況や米国の貿易関税といった経済的脅威にも対処する必要性に迫られている。

欧州委の「戦略対話」の内容は今年これから、自動車業界の計画に反映される。欧州委は既に、重要な技術やエネルギー、投入コスト、貿易、需要喚起、規制についての協議を提案している。

欧州自動車工業会(ACEA)は今週、EUが今年の二酸化炭素(CO2)排出基準を達成できなかった自動車会社に罰金を科す措置を撤回することが最優先だと表明した。

ルノーのデカ・デメオ最高経営責任者(CEO)は、欧州の自動車メーカーに対する罰金は150億ユーロに達する可能性があり、罰金を回避するには電気自動車(EV)の市場シェアが20%を超えなければならないと説明した。

欧州におけるEVの市場シェアは昨年、フランスとドイツでの販売の大幅な減少が響き、13.6%に低下した。

こうした状況に置かれた欧州の自動車メーカーはガソリン車もしくはディーゼル車の生産を減らすことでEVの販売目標を達成するか、米テスラや中国のライバル勢からクレジット(排出枠)を購入するか、いずれかの選択を迫られる可能性がある。

コンサルタント会社ベイン・アンド・カンパニーのパートナー、ジアンルカ・ディロレト氏は「自動車メーカーは基本的に、世界で最も環境を汚染している国から排出枠を購入し、EUが関税を課したばかりの中国のEVメーカーに資金を提供することになるだろう」と述べた。

自動車産業の製造拠点であるドイツ、イタリア、チェコの指導者らはEUに対し、罰金を免除するか、より長い期間をベースに算定するよう求めた。

これに対しシンクタンクT&Eのエグゼクティブディレクター、ウィリアム・トッツ氏は「1年や2年の延期では抜本的な改善につながらない」と指摘。対話は欧州自動車業界の成功に資する長期的な政策に重点を絞り込むべきだと訴えた。具体例として、充電インフラの改善や、消費者に域内で生産されたEVの購入を奨励するインセンティブを挙げた。

さらに、トランプ米大統領が表明している関税にどのように対処するかという問題にも直面している。

BMWのオリバー・ツィプセCEOは、EUが米国から輸入する自動車に対する関税を10%から2.5%に引き下げ、米国がEUからの輸入車に課す関税と一致させる方式を提案すると話した。

ロイター
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