トランプ氏の関税警告、ロシアの一部で反発強まる
ロシアがウクライナ戦争終結に合意しない場合、関税や制裁を課すとするトランプ米大統領(写真)の発言について、ロシアの一部の政治家や国粋主義者から「無礼」「侮辱的」「情報不足」であり、逆効果だとの批判が出ている。写真は米ホワイトハウスで21日撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)
Andrew Osborn
[23日 ロイター] - ロシアがウクライナ戦争終結に合意しない場合、関税や制裁を課すとするトランプ米大統領の発言について、ロシアの一部の政治家や国粋主義者から「無礼」「侮辱的」「情報不足」であり、逆効果だとの批判が出ている。
トランプ氏は22日、ロシアがウクライナ戦争終結に合意しない場合、ロシアと「他の参加国」に高水準の税金や関税、制裁を課すと警告。その一方で、第2次世界大戦でロシアが米国を支援してくれたことを忘れてはならないとした上で、ソ連では第2次大戦で6000万人が死亡したと事実と異なる指摘をした。ロシア当局は死者が2660万人だったと推定している。
ロシアのペスコフ大統領報道官は23日、トランプ氏の発言について、特に目新しさはないとし「全てのニュアンスをつぶさに記録している。われわれには引き続き対話の用意があり、プーチン大統領はそれを繰り返し言っている。対等な対話、互いを尊重し合う対話だ」とコメントした。
ただ、ロシアの一部の政治家や国粋主義者は、トランプ氏の高圧的な態度が和平合意を阻害する可能性が高いと指摘している。
ロシア上院のコサチョフ副議長は、トランプ氏がウクライナ側に何も要求していないと批判。
「ウクライナ危機の原因、現状、解決の見通しに対する彼の理解度が、第2次世界大戦の経過と結果に対する理解度とほぼ同じレベルであることが確認された」とし「最低限の水準に達しておらず、遺憾であり、懸念している」と述べた。
国内に多数のフォロワーがいる戦争ブロガーもトランプ氏の発言に反発。戦争ブロガーのボエンコル・コトノク氏は「(トランプ氏の発言は)侮辱的で、傲慢で、自己満足だ」と非難した。
戦争特派員のアレクサンダー・コッツ氏も、中東の停戦合意でトランプ氏が誤った自信を持ってしまったのではないかとし「ロシアはガザ地区ではない。最後通告で対話を始めるのは、調停役を名乗る指導者としては、あまり先見の明のある行動ではない。ロシアは脅迫や脅しによる取引には決して応じないだろう」と述べた。
元大統領顧問のセルゲイ・マルコフ氏も、トランプ氏のこれまでの行動を踏まえると、ウクライナに和平をもたらすことはできないだろうと分析。国営メディアの著名司会者、ウラジーミル・ソロビヨフ氏も、今回の脅迫はトランプ氏が敵であることを証明していると語った。