ニュース速報
ワールド

出生地主義廃止の米大統領令撤回求め提訴、民主党系22州や自治体と人権団体

2025年01月22日(水)07時50分

 1月21日、米国で民主党系の州や自治体、人権団体などが、「出生地主義」を廃止するトランプ大統領の命令の撤回を求める訴訟を相次いで起こした。写真は、訴訟について会見する弁護士ら。同日、米マサチューセッツ州チェルシーで撮影(2025年 ロイター/Lauren Owens Lambert)

Nate Raymond

[ボストン 21日 ロイター] - 米国で民主党系の州や自治体、人権団体などが21日、「出生地主義」を廃止するトランプ大統領の命令の撤回を求める訴訟を相次いで起こした。

出生地主義は、両親に米国市民権ないし合法的な在留資格がなくても、米国で生まれた子どもには市民権が認められる制度。

民主党系の22の州と首都ワシントン、サンフランシスコ市は、この廃止を定めた大統領命令は合衆国憲法違反だと主張し、ボストンとシアトルの連邦裁判所に訴訟を提起。アメリカ自由人権協会(ACLU)などの団体も、同様の訴えを申し立てた。

これらの訴訟は、トランプ氏が打ち出している包括的な移民取り締まり策の中核部分にくさびを打ち込む狙いがある。

マサチューセッツ州のアンドレア・ジョイ・キャンベル司法長官は、大統領令がそのまま認められれば、米国で生まれる年間15万人余りの子どもに市民権が与えられなくなると指摘。「トランプ大統領には憲法上の権利を奪い去る権限はない」と強調した。

市民権を失った人々は、低所得者向け医療保険「メディケイド」などの連邦政府の各種制度が利用できなくなるほか、選挙権や合法的な労働資格も得られなくなる。

ニュージャージー州のマシュー・プラトキン司法長官は「本日の訴訟はトランプ政権に対して、われわれが住民の側に立ち、彼らの憲法上の基本的権利を守るという明確なメッセージを送ることになる」と説明した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日米豪印が外相会合、トランプ政権発足直後に中国けん

ビジネス

EU一律の新興企業ルール導入を、米への流出阻止=欧

ビジネス

イスラエル、債務残高の対GDP比率が69%に上昇 

ワールド

議事堂襲撃事件、大統領恩赦で大量釈放、世論調査60
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    「バイデン...寝てる?」トランプ就任式で「スリーピー・ジョー」が居眠りか...動画で検証
  • 4
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    大統領令とは何か? 覆されることはあるのか、何で…
  • 7
    世界第3位の経済大国...「前年比0.2%減」マイナス経…
  • 8
    トランプ新政権はどうなる? 元側近スティーブ・バノ…
  • 9
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 10
    「敵対国」で高まるトランプ人気...まさかの国で「世…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中