米当局、3大PBMの薬価つり上げ指摘 73億ドル多く売り上げか
1月14日、米連邦取引委員会(FTC)は発表した報告書で、米3大薬剤給付管理会社(PBM)が提携薬局で心臓病、がん、エイズウイルス(HIV)などの一部医薬品の価格を大幅につり上げていたと発表した。ワシントンのFTC本部前で11月撮影(2025年 ロイター/Benoit Tessier)
Ahmed Aboulenein
[ワシントン 14日 ロイター] - 米連邦取引委員会(FTC)は14日発表した報告書で、米3大薬剤給付管理会社(PBM)が提携薬局で心臓病、がん、エイズウイルス(HIV)などの一部医薬品の価格を大幅につり上げていたと発表した。3社はユナイテッドヘルス・グループ傘下のオプタム、CVSヘルス傘下のCVSケアマーク、シグナ傘下のエクスプレス・スクリプツで、2017―22年に薬局での価格を数百―数千%引き上げることで医薬品取得額より総額73億ドル多い売り上げを得ていたと指摘した。
FTCの報道担当者は「73億ドルはPBMが払い戻ししている金額と、PBMが医薬品を入手するのにかかったと推定される金額との差額だ」とし、この金額でも「おそらくは過少評価だろう」と付け加えた。
CVSヘルスの渉外担当副社長デビッド・ウィトラップ氏は、FTCがPBMの弱体化によって利益を得る業界である製薬会社と薬局からの証言を優先したと批判した。
オプタムの広報担当者は、同社が薬剤費を下げたことで患者側は24年に13億ドルを節約できたと述べた。
シグナのエクスプレス・スクリプツの広報担当者は、報告書の調査結果は誤解を招く内容だとし、この計算は私たちのヘルスプランが1年間に医薬品に費やす金額の2%にも満たない薬の部分集合に基づいていると反論した。
報告書によると、PBMは親会社が所有する薬局に対してより収益性が高い処方せん、すなわち1回当たり1000ドルを超える高額の処方せんを誘導していたことが示唆された。また、調査対象のほぼ全ての医薬品に関し、親会社が経営する薬局の方が系列外の薬局より多くの処方せん料を支払っていた。
FTCが問題視した薬剤の21年の患者負担額は2億7900万ドルとなり、17年以降に年間で14―21%上昇していた。
さらに、3大PBMは調査期間中に、PBMが薬局に支払う価格と保険プランから受け取る価格の差額を保持するスプレッド・プライシングによって14億ドルを得ていたとも指摘した。
FTCは昨年9月、製薬会社から数百万ドルのリベートを得るために糖尿病患者をより高価格のインスリン製剤に誘導したとして3大PBMを提訴していた。訴訟について各社はいずれも根拠はないと反論した。
CVSとユナイテッドヘルス、シグナの3社は昨年10月、各社の価格設定モデルに対する偏見があるとしてカーンFTC委員長を外すように要請していた。
今月20日に就任するトランプ次期米大統領(共和党)は、カーン氏の後任のFTC次期委員長にアンドリュー・ファーガソン委員を指名した。
FTCの報道担当者は、ファーガソン氏や共和党所属の委員がPBMに対するFTCの活動を支持すると確信していると述べた。
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