ニュース速報
ワールド

WTO紛争処理制度改革、トランプ政権始動前に合意できず

2024年12月19日(木)12時29分

 12月18日、世界貿易機関(WTO)の加盟各国は16─17日に開いた一般理事会で、紛争処理制度の改革について合意に達することができなかった。写真はWTOのロゴ。スイスのジュネーブで2021年9月撮影(2024 ロイター/Denis Balibouse)

David Lawder

[ワシントン 18日 ロイター] - 世界貿易機関(WTO)の加盟各国は16─17日に開いた一般理事会で、紛争処理制度の改革について合意に達することができなかった。バイデン米政権のWTO大使を務めるマリア・パガン通商代表部(USTR)次席代表が18日明らかにした。

今回の一般理事会は、トランプ次期米政権が始動する来年1月20日に先立つ最後の会合だった。次回開催日は来年2月18─19日の予定。

WTOは2019年、紛争処理の最終審に当たる上級委員会の委員補充を米国が拒否して機能不全に陥って以来、紛争解決制度の改革に取り組んでいる。上級委員会の機構改編を目指す話し合いは今年初めに再開された。

パガン氏は、この協議はある程度進展を見せたものの「どのような形の上訴が必要かつ適切か」という重要な問題で加盟国間の意見がなお一致しなかったと明らかにした。

米国はオバマ政権時代から、上級委員会が権限を過剰に行使し、加盟国と交渉せずに新たな通商ルールを策定していると批判してきた。

パガン氏は「一部の加盟国は米国が心変わりするのを期待し続けたと思う。(だが)われわれの決心は変わらない」と強調。WTOが米国を制度の一員に加えたいならば、米国の考えを真剣に受け止めてほしいと訴えた。

またパガン氏は、トランプ次期大統領がUSTR代表に指名したジェミソン・グリア氏に何か助言があるかとの質問にはコメントを拒否し、政権移行チームとは接触していないと述べた。

一方パガン氏は、今回の一般理事会では漁業補助金を巡る協議も新たな協定の合意には至らなかったと説明した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

独VWと労組、工場閉鎖と賃下げ巡る交渉継続=関係筋

ワールド

中国、米がサイバー攻撃で「企業秘密窃盗」 ハイテク

ワールド

減量薬と併せた対応が肥満症治療に効果、「可能性切り

ビジネス

再送非伝統的政策は完全な代替手段にならず、2%目標
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 2
    遠距離から超速で標的に到達、ウクライナの新型「ヘルミサイル」ドローンの量産加速
  • 3
    「制御不能」な災、黒煙に覆われた空...ロシア石油施設、ウクライナ軍のドローン攻撃で深夜に爆発 映像が話題に
  • 4
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 9
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 10
    アサドは国民から強奪したカネ2億5000万ドルをロシア…
  • 1
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式多連装ロケットシステム「BM-21グラート」をHIMARSで撃破の瞬間
  • 2
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いするかで「健康改善できる可能性」の研究
  • 3
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 4
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 5
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 8
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 9
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 10
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中