加・メキシコ産原油、トランプ関税導入なら値下げへ アジアに恩恵
11月27日、トレーダーやアナリストによると、トランプ次期米大統領がカナダ、メキシコからの原油輸入に25%の関税を課した場合、両国の石油生産者は値下げとアジアへの輸出を余儀なくされる可能性が高い。カナダ・カルガリー近郊で2014年撮影(2024年 ロイター/Todd Korol)
Florence Tan Siyi Liu
[シンガポール 27日 ロイター] - トレーダーやアナリストによると、トランプ次期米大統領がカナダ、メキシコからの原油輸入に25%の関税を課した場合、両国の石油生産者は値下げとアジアへの輸出を余儀なくされる可能性が高い。
関係筋によると、トランプ氏が表明したメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課す計画では輸入原油も例外にはならない。
ゴールドマン・サックスのグローバル商品リサーチ部門共同責任者、ダーン・ストルイベン氏は27日、記者団に「カナダの生産者は、輸出が制約され、これまで米国に輸出していた原油を他の市場に振り向けられない場合、値引きの拡大と収入減に見舞われる恐れがある」と述べた。
カナダとメキシコは主に高硫黄重質原油を輸出。精製は米国やアジアの製油所などで行われている。
シンガポールのあるトレーダーは「関税分は生産者か製油所のいずれかが負担しなければならない」とし、カナダの生産者はアジアの製油所の需要を取り込み、長距離輸送のコストを相殺するため、原油の値下げ拡大を余儀なくされると述べた。
アジアの製油所関係者やアナリストは、トランプ氏が関税を導入すれば、アジアに輸出されるカナダ産、メキシコ産の原油が増えると予想している。
LSEGのアナリスト、アン・ファム氏は「中国やインドでは、製油所の構成がこうした原油を精製できる体制になっているため、相当量が両国に向かう」と述べた。
ただ、一部のトレーダーやゴールドマン・サックスのアナリストは実際に原油が関税の対象になるのか懐疑的な見方を示している。トランプ氏は交渉戦術として関税を利用してきた経緯があり、実際に原油に関税をかければ米国の消費者物価や製油所のコストが上昇するためだ。