米司法長官に保守強硬派ゲーツ下院議員指名へ、トランプ氏発表
トランプ次期米大統領は13日、共和党の保守強硬派マット・ゲーツ下院議員を司法長官に指名すると発表した。2023年1月撮影(2024年 ロイター/Kevin Lamarque)
[ワシントン 13日 ロイター] - トランプ次期米大統領は13日、共和党の保守強硬派マット・ゲーツ下院議員(42)を司法長官に指名すると発表した。扇動的な発言で知られ、過去に性的人身売買の疑いで司法省の捜査を受けている。
トランプ氏は声明で、ゲーツ氏が「武器化された政府を終わらせ、国境を守り、犯罪組織を解体し、司法省に対する米国民の打ち砕かれた信頼と信用を回復するだろう」と述べた。
ゲーツ氏は法律事務所で勤務後、2016年に下院議員に初当選した。司法省での勤務経験や、いかなるレベルの政府でも検察官としての経験はない。23年に当時のマッカーシー下院議長の解任を主導した。
ジョンソン下院議長(共和党)は、ゲーツ氏が早速、下院議員を辞職したと記者団に明らかにした。共和党が僅差で多数派を維持するとみられる次期議会下院での自身の後任を探す作業を迅速に進められるようにしたという。
人事承認権限を持つ上院では、一部の共和党議員からゲーツ氏指名を疑問視する見方が出ている。複数メディアによると、同党のマカウスキ上院議員は「真剣な指名ではないと思う」と記者団に述べた。
大統領1期目の任期終了後に起訴されたトランプ氏は司法省を痛烈に批判し、2期目に同省を抜本的に改革すると表明している。
トランプ氏は連邦レベルで、20年大統領選の結果を覆そうと画策した事件と大統領時代の機密文書持ち出しの2件の刑事裁判を抱えている。トランプ氏はどちらもバイデン政権下で司法省が自身の政治的成功を阻止するために仕組んだと反発。機密文書持ち出し事件は連邦地裁が棄却しており、大統領選結果を覆す試みについては、トランプ氏の当選を受けて起訴が取り下げられる見込み。
<業務の政治化に懸念>
トランプ氏の側近らは司法長官職について、政権内で大統領に次ぐ重要ポストと見なし、不法移民の大規模強制送還や連邦議会襲撃事件に関与した人の恩赦、過去4年間にトランプ氏を起訴した人物への報復などを実行する鍵を握るとしている。
ゲーツ氏は性的人身売買の疑いで司法省の捜査を受けたが、同氏の事務所は昨年、検察が起訴を見送ると明らかにした。ただ、下院倫理委員会は性的不品行、違法薬物使用などの疑いで調査を続けている。
司法省の元当局者らは、ゲーツ氏が同省の業務を政治化する恐れがあると指摘。
トランプ氏の発表の数時間前にゲーツ氏は交流サイト(SNS)に「米国民に背を向けたこの武器化された政府に裁判所を総動員して挑む必要がある。それがFBIからATFに至るまで3文字の組織を全て廃止するという意味ならば、私にはその用意がある!」と投稿した。
米連邦捜査局(FBI)とアルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局(ATF)は司法省の傘下機関。