ニュース速報
ワールド

ウクライナ、クルスク州の制圧地域拡大 ロシア領占領は意図せず

2024年08月14日(水)06時13分

ウクライナ外務省報道官は13日、ロシア西部クルスク州への越境攻撃について、ウクライナには制圧した地域を占領する意向はないと述べた。ロシア西部クルスク州と国境を接する北東部スムイ州で12日撮影(2024年 ロイター/Viacheslav Ratynskyi)

[キーウ/ワシントン/ニューオーリンズ 13日 ロイター] - ウクライナ外務省報道官は13日、ロシア西部クルスク州への越境攻撃について、ウクライナには制圧した地域を占領する意向はないと述べた。 

ウクライナは6日にクルスク州に対する本格的な地上越境攻撃を開始。シルスキー軍総司令官は12日、クルスク州で約1000平方キロメートルの領土を制圧したと明らかにした。   

さらにこの日は、過去24時間で1─3キロメートル前進し、40平方キロメートルを新たに制圧したと明らかにした。制圧した地域は74集落に上る。

外務省のティヒー報道官は首都キーウで記者団に対し、クルスク州で攻撃を受けていることで、ロシアはウクライナ東部の戦線に追加部隊を送り込むことが難しくなるとの見方を示し、「ロシアとは異なりウクライナは他の人々の財産を必要としない。ウクライナにはクルスク州の領土を占領する意図はない。国民の命を守りたいだけだ」と述べた。

ゼレンスキー大統領によると、ロシアは6月以降、クルスク州からウクライナに対し2000回を超える攻撃を実施。こうした越境攻撃が行われていた地域をウクライナ軍が制圧したと述べている。

またポドリャク大統領府顧問は、ロシアは和平交渉への参加に消極的参加であるため、強制的に参加させる必要があると述べた。その方法の一つが戦場での行動だとし、クルスク州越境攻撃に言及した。

ゼレンスキー大統領はこの日の国民向け演説で、クルスク州攻撃はウクライナが主導権を握れることを証明したと指摘。「いかなる状況でも、われわれは目標を達成できる、われわれの利益と独立を守ることができるということを再び証明した」と述べた。

その上で「困難で激しい戦闘にもかかわらず、ウクライナ軍はクルスク州で前進を続けている」と表明。「次のステップを準備している」と述べた。ただ詳細は明らかにしなかった。

戦闘が続く中、ロシア国防省は国境から26─28キロの地点にある集落への攻撃を撃退したと表明。ロイターは戦況を独自に確認できていない。

米国務省のパテル副報道官は13日、米国はウクライナのロシア越境攻撃の計画や準備には一切関与していないと表明。ホワイトハウスのジャンピエール報道官も、ウクライナがロシアのクルスク州に対する越境攻撃を計画しているとの事前通告は受けていなかったとし、この作戦に米国は関与していないと述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米加州、商用トラックの排ガス規制巡る申請取り下げ 

ワールド

韓国大統領を拘束、現職で初 尹氏「流血避けるため出

ワールド

印ディーラー向け乗用車販売、昨年は4.2%増 4年

ビジネス

ロシア、グーグルに7800万ドルの罰金 行政処分に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン」がSNSで大反響...ヘンリー王子の「大惨敗ぶり」が際立つ結果に
  • 4
    「日本は中国より悪」──米クリフス、同業とUSスチ…
  • 5
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 6
    日鉄はUSスチール買収禁止に対して正々堂々、訴訟で…
  • 7
    ロシア軍高官の車を、ウクライナ自爆ドローンが急襲.…
  • 8
    ド派手な激突シーンが話題に...ロシアの偵察ドローン…
  • 9
    トランスジェンダーを抹消か...トランプ政権、気候変…
  • 10
    LA史上最悪の山火事が招いた、ハリウッド映画のよう…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分からなくなったペットの姿にネット爆笑【2024年の衝撃記事 5選】
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 6
    ロシア兵を「射殺」...相次ぐ北朝鮮兵の誤射 退却も…
  • 7
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「…
  • 8
    装甲車がロシア兵を轢く決定的瞬間...戦場での衝撃映…
  • 9
    トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくない…
  • 10
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中