ニュース速報
ワールド

アングル:4年前より生活は良くなったか」、27日TV討論会で焦点に 米大統領選

2024年06月27日(木)05時17分

4年前に比べ、生活は良くなったか─。レーガン前米大統領が1980年の米大統領選で国民に投げかけた質問だ。2020年9月撮影(2024年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン 26日 ロイター] - 4年前に比べ、生活は良くなったか─。レーガン前米大統領が1980年の米大統領選で国民に投げかけた質問だ。11月の大統領選での勝利をかけ、バイデン大統領と共和党のトランプ前大統領が対決する27日の第1回テレビ討論会でも焦点となることが予想される。

コロナ禍に伴い、食料品を中心に物価は急騰し、米消費者の家計は圧迫された。しかし今年5月時点の消費者物価指数(CPI)の伸びは3.3%まで鈍化。失業率もパンデミック(世界的な大流行)中を除き、トランプ・バイデン両政権の大半を通じ4%を下回る水準にとどまっている。

アメリカン・エンタープライズ・インスティテュートの常駐研究員マイケル・ストレイン氏は「典型的な世帯の典型的な労働者の暮らしは2020年2月の方が今よりも良かったのではないか。全ての問題はインフレだ」とし、賃金の伸びは緩慢で、物価上昇ペースに完全に追いついていないと述べた。

また、経済面でバイデン、トランプ両氏の政策を比較すると、 「広く考えられているよりも、重複部分が多い」と述べた。「いずれも財政的に責任ある政策ではない」とし、「トランプ氏は国内製造業に特別な注意を向け、関税を通じそれを実現した。バイデン氏は関税と補助金を通じてそれを実現することを選んだ」と述べた。

KPMGのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「経済全体が以前より良くなっていることに疑いの余地はない」としつつも、長期的な視点に目を向けるべきと強調。「われわれはより不安定な世界に生きている。全ての不安定さに加え、戦争や悲惨な状況を踏まえると、振り返ってみた時に世界が良い状況になっているとは言いがたいだろう」と述べた。

エコノミック・イノベーション・グループのチーフエコノミスト、アダム・オジメク氏は「景気後退を回避できれば、われわれは実に良い状況にあると思う。労働市場がこれほど逼迫したのも久しぶりだ」と指摘。同時に「ここに達するまでかなり困難な道のりだった。物価が大幅に上昇したことに人々は憤慨している」とし、インフレは落ち着きつつあるものの、高金利は「住宅市場に多大な痛みをもたらしている」と述べた。

大統領選に無所属で出馬する「第3の候補」ロバート・ケネディ・ジュニア氏を支持する中小企業経営のアンナ・マトソン氏は、物価急騰による可処分所得の圧迫や住宅ローン金利上昇に言及し、「確実に、以前より悪い状況になっている。4年前は夫婦共働きでオーガニック食品を購入したり、旅行に行くお金があったが、全ての物価が急騰したため、節約しなければならない」と述べた。

米配車ウーバー・テクノロジーズの運転手エディ・ローマン氏は「状況はさほど変わっていない。(トランプ氏もバイデン氏)いずれもも、私にとっては何の役にも立たなかった」という見方を示した。ただ、自身にとり重要なガソリン価格はトランプ政権下では下落していたと述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:中国「白酒」が西側進出へ、メーカーは販売

ワールド

アングル:300%インフレのアルゼンチン、「主食」

ビジネス

アングル:FRB当局者、インフレ鈍化に安堵 利下げ

ビジネス

NY外為市場=ドル小幅安、PCEデータ受け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:小池百合子の最終章
特集:小池百合子の最終章
2024年7月 2日号(6/25発売)

「大衆の敵」をつくり出し「ワンフレーズ」で局面を変える小池百合子の力の源泉と日和見政治の限界

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    キャサリン妃は「ロイヤルウェディング」で何を着たのか?...「お呼ばれドレス」5選
  • 3
    「地球温暖化を最も恐れているのは中国国民」と欧州機関の意識調査で明らかに...その3つの理由とは?
  • 4
    女性判事がナイトクラブで大暴れ! 胸が見えてもお構…
  • 5
    ミラノ五輪狙う韓国女子フィギュアのイ・ヘイン、セク…
  • 6
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地.…
  • 7
    ロシアの人工衛星が軌道上で分解...多数の「宇宙ごみ…
  • 8
    ガチ中華ってホントに美味しいの? 中国人の私はオス…
  • 9
    あまりの激しさで上半身があらわになる女性も...スー…
  • 10
    「死刑囚だけど、会いたいから行ってるだけ」和歌山…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地...2枚の衛星画像が示す「シャヘド136」発射拠点の被害規模
  • 3
    ミラノ五輪狙う韓国女子フィギュアのイ・ヘイン、セクハラ疑惑で3年間資格停止に反論「恋人同士だった」
  • 4
    ガチ中華ってホントに美味しいの? 中国人の私はオス…
  • 5
    「大丈夫」...アン王女の容態について、夫ローレンス…
  • 6
    衛星画像で発見された米海軍の極秘潜水艇「マンタレ…
  • 7
    貨物コンテナを蜂の巣のように改造した自爆ドローン…
  • 8
    ロシア軍部隊を引き裂く無差別兵器...米軍供与のハイ…
  • 9
    キャサリン妃は「ロイヤルウェディング」で何を着た…
  • 10
    8人負傷のフィリピン兵、1人が「親指失う」けが...南…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に
  • 3
    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア
  • 4
    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…
  • 5
    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…
  • 6
    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…
  • 7
    新型コロナ変異株「フラート」が感染拡大中...今夏は…
  • 8
    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…
  • 9
    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…
  • 10
    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中