がん新規患者、22年は世界で2000万人 治療格差浮き彫り=報告

世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)は1日、2022年の世界のがんの新規患者は2000万人、死者は970万人に上ったとの推計を発表した。先進国と途上国の治療格差も浮き彫りになった。写真はWHOのロゴ。スイス・ジュネーブの本部で昨年2月撮影(2024年 ロイター/Denis Balibouse)
Jennifer Rigby
[ロンドン 1日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)は1日、2022年の世界のがんの新規患者は2000万人、死者は970万人に上ったとの推計を発表した。先進国と途上国の治療格差も浮き彫りになった。
IARCは185カ国からのがん36種に基づくデータに基づき、およそ5人に1人が一生のうちにがんにかかり、男性9人の1人、女性12人の1人がそれぞれがんで死亡すると分析した。
ただがんに伴うリスクは患者の住む場所によって異なる。例えば、先進国では女性12人の1人が乳がんにかかるが、死亡するのは71人に1人にとどまる。
生活水準の指数「人間開発指数」が相対的に低い国々では、人口が若い傾向があることや、太りすぎなどのリスクが低いことから、乳がんと診断される女性は27人に1人だが、死亡率は48人に1人。
IARCの担当幹部は、こうした国々の女性は、診断される可能性が低く、診断の遅れのほか、質の高い治療が十分に受けられないため、乳がんで死亡するリスクがより高いと指摘した。
またライフスタイルの変化によりさまざまな種類のがんが増加。新規患者のうち大腸がんが3番目、死者では2番目に多くなっている。
最も多いのは肺がんの新規患者で、死因の第1位となっており、毎年新たに250万人が診断され、180万人が死亡している。
IARCによると、50年までに人口の増加と老化に伴い、世界の新規患者は77%増の3500万人に達する見通し。 しかしその影響は不均等で、貧困国では新規患者は142%増加し、死亡率は2倍になるだろうという。