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NY市場サマリー(21日)ドル3年ぶり安値、長期債利回り上昇 株大幅安 トランプ氏のFRB議長批判で

2025年04月22日(火)07時19分

<為替> ドルが主要通貨に対し3年ぶり安値を付けた。トランプ米大統領によるパウエル連邦準備理事会(FRB)議長の批判を受け、FRBの独立性が脅かされる恐れがあるという懸念が強まった。    トランプ大統領は21日、パウエル議長を「ミスター遅すぎ(Mr. Too Late)」と呼び、「今すぐ金利を引き下げなければ、経済は減速する可能性がある」と述べた。    ドルは主要通貨バスケットに対し、一時2022年3月以来の安値となる97.923に沈んだ。    ミズホのアジア(日本除く)マクロ調査責任者ヴィシュヌ・ヴァラタン氏は「FRB議長解任には特定の手続きが必要で、ハードルも高いと思われる」と指摘。同時に「トランプ大統領がFRBの独立性を損なうような動きを進めることは可能だろう」と述べた。    コーペイのチーフマーケットストラテジスト、カール・シャモッタ氏はノートで「物価安定と完全雇用というFRBの二大責務がホワイトハウスによって定義される新たな目標によって希薄化されるようなことになれば、急激な物価上昇時に金融政策の引き締めが困難になる可能性がある」と述べた。    ドルは安全通貨とされるスイスフランに対しては1.5%超下落し、10年ぶりの安値となる0.8063フランを付けた。    ドル/円は7カ月ぶりの安値を付けた後、終盤の取引では140.66円。    ユーロ/ドルは1.1535ドルと、節目の1.15ドルを上抜け、21年11月以来の高値を記録した。    ポンド/ドル も昨年9月以来の高値となる1.34ドルを付けた。    多くの欧州市場やオーストラリア、香港などの市場がイースターマンデーで休場だったため、商いは薄かった。

<債券> 長期債利回りが上昇した。トランプ米大統領がパウエルFRB議長に対する早期利下げ要求を強めていることで、関税政策に起因する市場の弱さが一段と悪化する恐れがあるとの懸念が出ている。     BMOキャピタル・マーケッツの米金利ストラテジスト、ベイル・ハートマン氏は「トランプ大統領のパウエル議長に関する発言は、株式や長期国債を含む米国資産に対する圧力になっている」と指摘。「イースター(復活祭)に関連してオーバーナイトの取引が休場になっていたことで低流動性が低く、市場の反応が増幅された可能性がある」としながらも、「FRB議長の解任に関する議論は何の助けにもならない」と述べた。     終盤の取引で10年債利回りは7ベーシスポイント(bp)上昇の4.403%。    一方、金利見通しを敏感に反映しやすい2年債利回りは約5bp低下の3.747%。    CMEフェドウオッチによると、FRBが6月に0.25%ポイントの利下げを決定する確率は63%。先週末からやや上昇した。    2年債と10年債の利回り格差は約65bpと、約3年ぶりの水準に拡大した。    今週は財務省が合計1800億ドルの2年債、5年債、7年債入札を実施。市場のボラティリティが高い状態が続く中、米国債に対する需要がどの程度存在しているのか見極めようと注目されている。    

<株式> 大幅安。トランプ大統領がパウエルFRB議長への攻撃を強め、早期利下げを改めて要求したことで、FRBの独立性が脅かされるという懸念が高まった。    ダウ工業株30種は971ドル値下がり。一時1300ドル超下げる場面もあった。ナスダック総合とS&P総合500種も2%超下落。超大型ハイテク7銘柄「マグニフィセント・セブン」が大きく下げた。    S&P500は2月19日に付けた終値での最高値を16%下回る水準で取引を終えた。2月の最高値から20%下落して引ければ、弱気相場入りが確認される。    トランプ大統領は21日、金利が即座に引き下げられなければ米経済は減速する可能性があるとし、パウエル議長を「ミスター遅すぎ(Mr. Too Late)」と呼び、早期利下げを改めて要求した。    米中貿易摩擦も引き続き懸念材料となっている。中国は他国に対し、米国との経済協定を結ぶに当たって中国を犠牲にすることがないよう警告した。    S&P500の主要11業種が軒並み下落し、一般消費財や情報技術の下げがきつかった。    個別では半導体大手エヌビディアが4.5%安。中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が人工知能(AI)向けGPU(画像処理半導体)の量産出荷を5月にも始める予定だとロイターが報じた。    電気自動車(EV)大手テスラは5.8%安。「モデルY」の廉価版の生産が遅れているとのロイターの報道を嫌気した。

<金先物> FRB議長の解任が警戒される中で安全資産として 買われ、大幅反発した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前営業日(17日)96.90ドル(2.91%)高の1オンス=3425.30ドルと、3400ドル台に乗せ、史上最高値を更新した。前週末18日の金塊相場はグッドフライデー(聖金曜日)の祝日に伴い休場だった。

<米原油先物> 供給不安の後退や景気悪化への警戒感を背景に、3営業日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月5月物の清算値(終値に相当)は前営業日(17日)比1.60ドル(2.47%)安の1バレル=63.08ドルだった。6月物は1.60ドル安 の62.41ドル。

米イラン両政府は19日、イランの核開発制限に関する2回目の高官協議を開催。双方とも協議を肯定的に評価しており、技術的問題へ議論を進める方針で、23日に実務者会合、26日に3回目の高官協議をそれぞれ開くことで一致した。イラン産原油に関する米国の新たな制裁を背景に前週広がった供給混乱への警戒感が幾分後退し、原油は売られた。

ドル/円 NY終値 140.85/140.

90

始値 140.98

高値 141.07

安値 140.56

ユーロ/ドル NY終値 1.1513/1.15

16

始値 1.1523

高値 1.1549

安値 1.1482

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 95*19.0 4.9075

0 %

前営業日終値 97*03.0 4.8090

0 %

10年債(指標銘柄) 17時05分 101*20. 4.4165

50 %

前営業日終値 102*11. 4.3270

50 %

5年債(指標銘柄) 17時05分 100*02. 3.9802

75 %

前営業日終値 100*09. 3.9350

25 %

2年債(指標銘柄) 17時05分 100*06. 3.7686

25 %

前営業日終値 100*04. 3.7960

63 %

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 38170.41 -971.82 -2.48

前営業日終値 39142.23

ナスダック総合 15870.90 -415.55 -2.55

前営業日終値 16286.45

S&P総合500種 5158.20 -124.50 -2.36

前営業日終値 5282.70

COMEX金 6月限 3425.3 +96.9

前営業日終値 3328.4

COMEX銀 5月限 3252.1 +5.1

前営業日終値 3247.0

北海ブレント 6月限 66.26 ‐1.70

前営業日終値 67.96

米WTI先物 5月限 63.08 ‐1.60

前営業日終値 64.68

CRB商品指数 293.4061 ‐2.9731

前営業日終値 296.3792

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