野村HD、豪マッコーリーの米欧資産運用事業を買収 約2584億円
Miho Uranaka
[東京 22日 ロイター] - 野村ホールディングスは22日、豪金融機関マッコーリー・グループ傘下で米欧における資産運用事業を担う3社を約2584億円(18億ドル)で買収すると発表した。手元資金を活用する。買収により、運用資産残高は約5900億ドルから7700億ドルまで拡大する見込み。戦略分野と位置付ける資産運用事業のさらなる強化を図る。
奥田健太郎社長は会見で「今後のグローバル展開に向けた大きな第一歩」だとし、「米国においてしっかりとしたプラットフォームを持ちたいと考えていた。野村の商品を供給できるプラットフォームを獲得できる」と買収の狙いについて語った。
対象の3社は米国と欧州で、機関投資家向けに株式、債券などパブリック・アセットの投資戦略を提供しており、運用資産残高は約1800億ドルに上る。多様な運用能力に加えて販売ネットワークに強みがある。運用資産の9割が米国で、米フィラデルフィアを拠点に700人以上の人員を抱え、米国市場においては仲介業者や機関投資家を中心とした強力な顧客基盤を有している。
日本やアジアの株式の分野で強みを持つ野村証券に対して、マッコーリーは、米国や新興国市場で一定の規模を確保するなど、補完的な投資戦略商品を有しており、クロスセルを通じたシナジーなどに期待できるという。
今回の買収により、投資・運用を担うインベストメント・マネジメント部門収益の海外比率は、現在の34%から60%へと大きく拡大する見通し。運用資産残高に占める海外の比率も、16%から35%まで高まる見込み。野村HDは、安定的な収益基盤の拡大を目指し、2030年に運用資産残高を1兆ドル超へと引き上げる方針を掲げている。
野村HDとマッコーリーGは同時に、商品・サービスとプラットフォームの活用に向けた協力についても基本合意した。野村HDは、マッコーリー・アセット・マネジメントの米国における投資家への販売パートナーとなり、富裕層顧客向けのオルタナティブ・ファンドへのシード投資などを行う。