米ファイザー、肥満症経口薬の開発を中止 肝障害誘発の恐れ

米製薬大手ファイザーは14日、肥満症治療の経口薬「ダヌグリプロン」の開発を中止したと発表した。写真は同社のロゴマーク。2月にアイルランドで撮影(2025年 ロイター/Clodagh Kilcoyne)
[14日 ロイター] - 米製薬大手ファイザーは14日、肥満症治療の経口薬「ダヌグリプロン」の開発を中止したと発表した。臨床試験で被験者1人が薬物性肝障害を発症した可能性があり、服用をやめたところ回復したことが理由。
同社は2023年終盤に1日2回服用の経口薬の試験を開始したが、被験者の間で特に吐き気や嘔吐の副作用が頻繁に起きたため中止。その後1日1回服用のダヌグリプロンの試験を複数の用量で進めていた。
肥満症薬市場では現在、デンマーク製薬大手ノボノルディスクの「ウゴービ」や米イーライ・リリーの「ゼップバウンド」など週1回注射剤が圧倒的なシェアを占めている。経口薬のダヌグリプロンは使い勝手の良い選択肢となる可能性がある。
経口肥満症薬には製薬会社と投資家が高い関心を寄せており、今後数年で売上高が1500億ドルに達すると予測されている。
複数の企業がGLP─1受容体作動薬に分類される経口肥満症薬の開発を進めており、イーライ・リリーは「オルフォルグリプロン」の第3相臨床試験の結果を近く発表する予定。
BMOキャピタル・マーケッツのアナリスト、エバン・セイガーマン氏はファイザーのダヌグリプロン開発中止について、他のGLP─1受容体作動薬がいずれも試験の初期段階にあり、ファイザーも振り出しに戻ることになると指摘した。