英中銀、トランプ関税による世界的打撃リスクを警告

英イングランド銀行(中央銀行)の金融行政委員会(FPC)は9日、トランプ米大統領の輸入関税によって世界経済が打撃を受け、金融市場がさらに急落するリスクが高まっており、英国はその影響にさらされていると指摘した。2月撮影(2025年 ロイター/Toby Melville)
[ロンドン 9日 ロイター] - 英イングランド銀行(中央銀行)の金融行政委員会(FPC)は9日、トランプ米大統領の輸入関税によって世界経済が打撃を受け、金融市場がさらに急落するリスクが高まっており、英国はその影響にさらされていると指摘した。
「有害事象が発生する可能性と、その影響の潜在的な深刻さは高まっている」とした。
8日まで2日間にわたって開催した会合を受けた声明文は、世界貿易の大きな変化は経済成長を弱めることによって金融システムにダメージを与える可能性があると指摘。「英国は大きな金融セクターを抱える開放経済であるため、グローバルリスクは英国の金融安定に特に関連している」と記した。
FPCは、高水準の公的債務がもたらす世界中のリスクに対する長年の懸念を強調。「国債利回りの急上昇を含む債務の持続可能性への懸念に関連したリスクは、特に急速な資本流出を伴う場合、比較的早期に顕在化する可能性がある」と指摘した。
金融市場は秩序正しく機能しているように見えるとしつつ、コア市場で高レバレッジ取引戦略を取る企業や、成長鈍化によるプライベートエクイティ市場のリスクに特に注意を払うと説明。金融システムの強靭性を低下させかねない世界的な協力関係の縮小リスクも懸念しているとした。
経済・金融情勢が想定より大幅に悪化しても、英国の銀行は家計や企業の借り手を支えられると確信していると強調。銀行は十分な資本を有しているとしてカウンターシクリカル資本バッファー要件を2%に据え置きつつ、ショックシナリオに耐える各行の能力を監視していくとした。