ニュース速報
ビジネス

EXCLUSIVE-エアバスとボーイング、次世代航空機構想で月間100機生産も

2025年03月25日(火)12時52分

 航空機大手のエアバスとボーイングは、次世代航空機構想で軽量樹脂素材や生産の自動化を検討する中、月間のジェット機生産を100機程度にまで増やす態勢強化も視野に準備を進めている。10日撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

[パリ 24日 ロイター] - 航空機大手のエアバスとボーイングは、次世代航空機構想で軽量樹脂素材や生産の自動化を検討する中、月間のジェット機生産を100機程度にまで増やす態勢強化も視野に準備を進めている。業界関係者がパリで今月開かれた国際会議「JECワールド」で語った。

両社は脆弱なサプライチェーン(供給網)と、次世代エンジンの開発に長い期間を要するとみられる事態に直面し、主力機「ボーイング737」と「エアバスA320」の代替機の開発プロジェクト立ち上げが数年先になりそうだ。

だが両社は同会議で、次世代航空機の材料について既に研究を進めていると明らかにした。

米航空宇宙局(NASA)の高レート複合材機体製造(HiCAM)プロジェクトに参加しているボーイングのランディ・ウィルカーソン氏は「目標は次世代航空機プログラムへの移行に向け最善のアプローチを推奨することだ」と述べた。

「ボーイング787」や「エアバスA350」といった大型機では既に、軽量化のため複合材が大きく使われており、燃料の節約と二酸化炭素(CO2)の排出量削減に寄与している。だが複合材は高圧のオートクレーブ(圧力容器)の中で加工するのに長い時間を要する。

小型のジェット機を多数生産する需要を満たすため、エアバスとボーイングとボーイングは熱可塑性樹脂といった新たな材料を使って、より速いペースで生産する方式の研究を強化している。

同会議の講演者は、エアバスとボーイングの将来の生産態勢として月間80機を想定していると話した。これはボーイングの現在の生産機数の2倍であり、エアバスの月間目標である75機を上回る。

だが関係筋がロイターに語ったところでは、両社は複合材業界に対して、それぞれ月間で最大100機の生産態勢に備えてほしいと伝えたという。

これまで「787」といったジェット機の構造部品は、いったんオートクレーブで加工すれば形状と強度が維持される熱硬化性樹脂が使われてきた。

将来導入される可能性のある技術には、既存の生産システムを、より速く処理できるよう進展させる方式が含まれる。ウィルカーソン氏は「それはリスクがより低い方式であるが、大きな潜在性を秘めている」と語った。

熱可塑性樹脂の優位性は、空気抵抗の少ない形状の機体を生産する上で再加熱して形状を整え直すことができる点にある。

これらの部品はまた、リベットを使って溶接するのではなく、超音波による溶融いった先進技術を用いた溶接が可能であり、機体の重量を減らすことができる。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

カナダ首相、あらゆる選択肢検討へ トランプ関税への

ワールド

プーチン氏、ウクライナを暫定統治下に置く可能性示唆

ビジネス

米財政赤字と公的債務は今後30年で著しく増加、議会

ビジネス

トランプ氏の関税計画を評価中、米景気後退はない見込
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影された「謎の影」にSNS騒然...気になる正体は?
  • 2
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 3
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 4
    地中海は昔、海ではなかった...広大な塩原を「海」に…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    「マンモスの毛」を持つマウスを見よ!絶滅種復活は…
  • 7
    「完全に破壊した」ウクライナ軍参謀本部、戦闘機で…
  • 8
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 9
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 10
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 3
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 4
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 5
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 8
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中