EXCLUSIVE-エアバスとボーイング、次世代航空機構想で月間100機生産も

航空機大手のエアバスとボーイングは、次世代航空機構想で軽量樹脂素材や生産の自動化を検討する中、月間のジェット機生産を100機程度にまで増やす態勢強化も視野に準備を進めている。10日撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
[パリ 24日 ロイター] - 航空機大手のエアバスとボーイングは、次世代航空機構想で軽量樹脂素材や生産の自動化を検討する中、月間のジェット機生産を100機程度にまで増やす態勢強化も視野に準備を進めている。業界関係者がパリで今月開かれた国際会議「JECワールド」で語った。
両社は脆弱なサプライチェーン(供給網)と、次世代エンジンの開発に長い期間を要するとみられる事態に直面し、主力機「ボーイング737」と「エアバスA320」の代替機の開発プロジェクト立ち上げが数年先になりそうだ。
だが両社は同会議で、次世代航空機の材料について既に研究を進めていると明らかにした。
米航空宇宙局(NASA)の高レート複合材機体製造(HiCAM)プロジェクトに参加しているボーイングのランディ・ウィルカーソン氏は「目標は次世代航空機プログラムへの移行に向け最善のアプローチを推奨することだ」と述べた。
「ボーイング787」や「エアバスA350」といった大型機では既に、軽量化のため複合材が大きく使われており、燃料の節約と二酸化炭素(CO2)の排出量削減に寄与している。だが複合材は高圧のオートクレーブ(圧力容器)の中で加工するのに長い時間を要する。
小型のジェット機を多数生産する需要を満たすため、エアバスとボーイングとボーイングは熱可塑性樹脂といった新たな材料を使って、より速いペースで生産する方式の研究を強化している。
同会議の講演者は、エアバスとボーイングの将来の生産態勢として月間80機を想定していると話した。これはボーイングの現在の生産機数の2倍であり、エアバスの月間目標である75機を上回る。
だが関係筋がロイターに語ったところでは、両社は複合材業界に対して、それぞれ月間で最大100機の生産態勢に備えてほしいと伝えたという。
これまで「787」といったジェット機の構造部品は、いったんオートクレーブで加工すれば形状と強度が維持される熱硬化性樹脂が使われてきた。
将来導入される可能性のある技術には、既存の生産システムを、より速く処理できるよう進展させる方式が含まれる。ウィルカーソン氏は「それはリスクがより低い方式であるが、大きな潜在性を秘めている」と語った。
熱可塑性樹脂の優位性は、空気抵抗の少ない形状の機体を生産する上で再加熱して形状を整え直すことができる点にある。
これらの部品はまた、リベットを使って溶接するのではなく、超音波による溶融いった先進技術を用いた溶接が可能であり、機体の重量を減らすことができる。