米景気後退の確率40%、相互関税なら50%超に=JPモルガン幹部

3月12日、米金融大手JPモルガンのチーフエコノミスト、ブルース・カスマン氏は米国が今年リセッション(景気後退)に陥る確率は40%程度との見方を示した。ワシントンで2月撮影(2025年 ロイター/Kent Nishimura)
[シンガポール 12日 ロイター] - 米金融大手JPモルガンのチーフエコノミスト、ブルース・カスマン氏は12日、米国が今年リセッション(景気後退)に陥る確率は40%程度との見方を示した。
また、トランプ政権が米国の統治に対する信頼を損なえば、投資先としての米国の地位が永続的に損なわれるリスクがあると警告した。
カスマン氏はシンガポールで記者団に対し、「現在は米経済に対する懸念が高まっている状況だ」と述べた。まだ予測を修正していないとしながらも、景気後退リスクは年初時点の約30%から約40%へ上昇したとの見方を示した。
「破壊的で企業活動にとって好ましくない政策が続けば、景気後退のリスクは高まる」とし、トランプ大統領が実際に4月に相互関税を発動させた場合、景気後退リスクは50%かそれ以上に上昇する公算が大きいと述べた。
また、トランプ政権のやり方に対する不信感が広がると、長年にわたって築かれてきた米市場や米金融機関に対する信頼が揺らぎ、米資産に対する投資意欲が減退する恐れがあると警告した。
米国は法の支配が確立され、情報の透明性を信頼でき、政府が予期せぬ形でルールに干渉してくることはないという安心感を持てる場所として、これまで自らの地位を築いてきたと指摘した。
しかし、政府機関の削減や世界における米国の役割の変更、さらにデータ収集を支援する諮問委員会を解散させるという先週の決定などは、そうした信頼を台無しにする可能性があるとの認識を示した。
米国は基軸通貨であるドルを発行しているため「法外な特権」を得ているとされるが、この特権が圧力にさらされ、市場における構造的な問題に発展するリスクを決して軽視すべきではないと訴えた。